「終戦のローレライ(1,2巻)」 福井晴敏 著
「終戦のローレライ」(1,2巻) 福井晴敏 著ストーリー(「BOOK」データベースより)昭和二十年、日本が滅亡に瀕していた夏。崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。第22回吉川英治文学新人賞受賞。 「亡国のイージス」がめっちゃ面白かったので、これも読んでみました。文庫本だと4冊で、そのうちの1,2巻。1巻は登場人物の過去、現状などが書かれており、序章といった感じです。2巻でようやく、物語が始まります。ドイツからの戦利潜水艦・伊507に隠密で収集された兵士たち。まだ青年の折笠征人はある特殊任務に抜擢され、操縦技術No.1の同期の清永とともに伊507に乗り込みます。そこで、冷酷に見える絹見艦長、人間味のある高須副長、ナチス親衛隊の服を着た謎のフリッツ少佐たちとアメリカに壮絶な戦いを挑むことになります。折笠の特殊役目は、伊507が戦闘から逃げるために落としてきた「ナーバル」を海中から回収すること。深さ50メートルの海中で10日間以上も身を潜めている秘密兵器・・・。フリッツ少佐しか知らないその秘密とは「ローレライ」。海中で「すべてが見える」ローレライ・システムは、戦争に負けている日本の最後の切り札になるといいます。敵艦からの襲撃を受けながら、やっとのことで回収に成功した折笠。その中にいたのは、まだあどけないところの残る少女パウラだった・・・。パウラはドイツで実験により生まれた「人間兵器」水に手を浸すと、周りを感知し正確な位置を知ることができる。敵を倒すためには、海中で正確な位置を知ることが潜水艦にとっては重要になる。しかし、「ローレライ」には致命的な欠陥があった。魚雷が敵艦に当たって爆発し、人が死に、ばらばらになっていくときの状態や声がパウラを直撃し、そのショックでパウラは気を失ってしまう。そのため、ローレライを起動するために、早くても半日、遅くて4日くらいかかってしまう・・・。なんという・・・。戦争を正面から問いただした話。重く暗い話に、救いが見えるのでしょうか。3,4巻が楽しみです。