希望をありがとう
昨夜、本当に久しぶりに、ある患者さん(スキルス胃癌・30代・女性)のご主人から電話がありました。ここしばらく、メールも電話もなく、あまりにもご無沙汰状態だったので、ケータイに表示される名前を見ても???だったのですが、不思議と直ぐに記憶が蘇りました。奥さんが、スキルス胃癌で手術を受けたのが、2004年12月。それから3年4ヵ月後に、腸閉塞を起こして緊急入院となり、そこで再発・腹膜播種が判明したのです。ご相談を受けたのは、再発が判明して間もなくの頃です。あの時の電話は、よく覚えています。(過去の日記にも書いています)ようやく退院となった奥さんを乗せて、ご実家に向かわれる車中で喧嘩になったと、電話がきたのでした。ご主人は、懸命に奥さんを励まそう、前向きにさせようと頑張ったのですが、自暴自棄になってしまった奥さんには、何を言っても火に油をそそぐ結果になり。。。売り言葉に買い言葉、ついに喧嘩に発展。こんなつもりじゃなかった、これじゃいけない、この険悪な空気を何とかせねば!!と思ったようで、奥さんに 「ちょっと待ってろ」 と車を停めて車中に残し、私に電話したらしいです。何とも暗い声で電話がきたのを覚えてます。何を話したのか、よく覚えていませんが、確か、「あらま、喧嘩しちゃいましたかぁ」 という、私のズレたコメントが、ご主人の気持ちを和らげたようで、暗い声が笑い声に変わった記憶があります。恐らく、奥さんは、ご主人の様を車中から盗み見ていたのではないでしょうか。何故か笑顔で話し始めたご主人の姿が、どう映ったのか・・・それはわかりませんけど、車内に戻ってからは、仲直りできたようです。その後、米村先生の元で腹腔内化学療法を受け、2008年秋に手術となり、癌は取りきれたと報告が届きましたが、それ以来、連絡もなく、昨夜の電話でした。あれから、残念ながら再度、再発してしまったそうで、今月、亡くなったとの報告でした。実は、今年に入ってから、他の入院患者さんのご家族から、「〇〇さんという方が入院されていて、ひろりんさんをご存知で、こんな話をしてましたよ」という話が、届いていました。そこで、この患者さんが2度目の再発をしたことを知ったのです。状態は大体、予測がつくので、敢えてこちらからは連絡はせずにおりました。訃報を知らせる電話でありながらも、あの車中喧嘩事件の思い出話では、お互い声をあげて笑う場面もあり、涙あり、笑いありの電話でした。 あの時は、絶望しかなかったんですよぉ でも、あれから希望を貰って、最期まで前向きに過ごせました 米村先生と、ひろりんさんに出会わなければ、 こんなに前向きには、生きてこられなかったと思います こんな報告で残念ですが・・・・ 続けてくださいね、僕らは希望を貰ったんですから笑い声が涙声に変わり、何とも胸が詰まりました。たまたま、旅立つ数日前に米村先生とは病院の売店の側で会ったそうで、 あの時に、お礼は申し上げましたが、 大変感謝しておりますと先生に伝えてください という伝言も預かりました。誠に残念です。ご冥福をお祈り致します。