テーマ:ワイン大好き!(30246)
カテゴリ:ワインコラム
さて、今回の検証は「脱酸素剤パック」のワインを「常温」で3年保存したものをセラーで保存していたボトルと比べて飲んでみようというものでした。 私が確認したかった点は、主に以下の3点に集約されます。 1 夏場に30度を大きく超える高温環境におかれることによる劣化は本当にないのか?少なくとも熟成は早まるのではないか。 2 昼←→夜、夏←→冬といった温度変化の繰り返しにより、何らかの劣化が見られるのではないか。 3 酸素が完全に遮断されることにより、還元状態になってはいないか。あるいは熟成していないということはないか。 3については前項で書いたとおり「そもそもワインの熟成に微量の継続的な酸素供給は必要なのか?」という根源的な問題に関係してきます。 瓶詰め時に溶け込んだ酸素との重合だけでワインが熟成するのであれば、脱酸素パックのボトルたちも問題なく熟成している可能性があります。 一方でスクリューキャップのボトルで「還元状態になってしまう」という問題があるように、外気を過度に遮断してしまうことによる還元のリスクが高まることも想像できます。 ただし、今回のボトルたちは、一般的なコルクが使用されており、ボトルは立てて保管されていたので、パック内の空気(脱酸素剤により酸素はなくなっている)とボトル内とのガスの交換はそれなりにあったと想像されます。 これらの要素がどのようなアウトプットとなっているか。 次に1の高温の影響。普通に考えれば、日中30度を超え35度に迫るような室内にひと夏置いておくことは考えられません。しかし、これについては実は私はあまり心配していませんでした。 というのも、だいぶ以前に同じような原理の「デファンスール」を使用をすることによって「60度の温度でも問題なかった」という記事を読んでいましたし(ちなみにそのときの検証ボトルはラターシュだったかと。太っ腹!))、南さんのブログを読んでみても、これまで相当の本数を飲んできたが大丈夫だったと書かれています。 また、菊屋大久保さんは国税庁醸造試験所による、外気を遮断した実験装置での実験に立ち会ったことがあり、その結果は、「煮沸の温度帯になっても明確な劣化は発生しない」というものだったそうです。 http://www.foodwatch.jp/secondary_inds/winedist/12231 とはいえ、黎明期のRWG誌の「ワインの保存」の検証において、ふた夏経過後、三夏経過後の、まるで枯れ草のように見る影も無くヨレヨレになったボトルたちを飲んだ経験からすれば、「実際に自分の舌で確かめてみないことには…」という気持ちは大いにありました。 もうひとつ、劣化はしないにしても高温環境により熟成が早まるとして、その早まり具合については、正直私は飲んでみなければわからないと思っていました。 高温に置かれることによって、液体の内部で起こる化学反応が早まると言われています(一説には24度以上になると早まるとも)。しかしそれは前述の「酸素供給なしで本当に熟成するのか」という問題と表裏一体、もしくは「行って来い」になる可能性もあります。 まあ、仮に熟成が進んでいたとしても、酸素のない環境で促成栽培よろしく綺麗に熟成してくれているのであれば、それは歓迎できるという見方もありますし。 なお、「液体の内部で起こる化学反応」については、短い文章ですが、以下の東京農業大学教授のコラムが「科学の遠く及ばない領域である」と断じており、興味深いいです。 渋みは変化する 赤ワインとタンニン http://www.nodai.ac.jp/journal/nakanishi/0909.html 心酔わせるアントシアニン ワインの赤色の秘密 http://www.nodai.ac.jp/journal/nakanishi/0603.html でもって、もっともわからないのが、2の「温度変化による影響」でした。 (つづきます) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年11月20日 23時20分10秒
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