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カテゴリ:韓国映画
母は薄暗い店で働いている。
視線の先には息子。 息子は外の光の中にいる。 狭い出入り口 横に広がる道路 対照的な映像が面白いというだけでなく これはメタファーなのだと思った。 母がいる場所は“子宮”なのだと感じた。 広い世界へと子供を生み出した後も 母親はずっと子供を見つめている。 「韓国のスピルバーグ」から既に「世界のポン・ジュノ」になった感のあるポンちゃん。 ’69年生まれ。 これがまだ劇場長編映画4作目。 観てから随分と経ってしまった。 何と書いて良いのか分からなかったから。 冒頭、草原の中をフラフラと歩いてきた母は、いきなり踊りだす。 涙を拭いながら。 ここで観客は度肝を抜かれる…と思う。 その直前の状況は物語も終盤になって明らかになる。 また、ラストシーンへの伏線でもある。 ラスト、バス旅行に浮かれるオバサン達に混じって母はまた踊る。 嫌な記憶、辛い思い出を消してくれるというツボに鍼を打った後で。 私もたまにあるんだよな。 嫌なことがあった後、辛い思いをした後、 「踊っちゃえ~」と身体を動かしたりすること(笑) 韓国は“アジアのラテン系”と言われているそうだから 尚更そういうところがあるのかも…? そして、生きるということは踊ることに似ている。 私は母となった経験はないし 私を産んだ母はもう何年も前に亡くなった。 だから観念的な捉え方かもしれないけど この映画の“母”は、まさに“母親”だと思った。 親にとって子供は何歳になっても子供だと聞く。 お腹を痛めて子供を生み出す母親にとっては もっと、何ていうか、動物的?肉的? 自分自身の身体と密着したものなのかな…という気がする。 主人公の息子は知的障害がある…というのが実に象徴的。 同じベッドで抱き合う様にして眠る母子は 傍目にはアヤシく映るかもしれないけど これって、母親にとっては 息子はまさしく、いつまでたっても幼い子供のまま… ってことだよね。 目が離せない、いつまでも苦労が絶えない それでも、“母”にとっては、この上なく幸福な日々だったのかもしれない。 障がい者=ピュア と描く傾向が、特に日本の作品には多い気がするけど これは違う。 普段は子供のままの様な息子には、それなりに下卑た部分も芽生えてくる。 お酒を飲んで酔っ払ったり、女の子を欲したり… そして時々、ハッとする程、鋭い顔を見せたりもする。 “母”が狼狽するのは、息子の中に見知らぬ大人の顔を見た時。 そんな息子に殺人容疑がかえけられ、何とか罪を晴らそうと奔走する“母”― というのが主な物語。 哀れだったり滑稽だったり…ポンちゃんは容赦なく描く。 ペットボトルのシーンなんて絶妙(笑) そして驚愕の事実が判明し さらに驚愕の事態へと進む。 その中で“母”が叫ぶのが 「お母さん」 であるのが…もう、凄いよポンちゃん。 ポンちゃん、すげー! で、「真犯人」に“母”が尋ねるのも 「お母さんはいるの?」 だってところが、もうね… 母親の愛は盲目的で 愚かで哀れで自己中。 『マザー/Mother』 2009年 / 韓国 監督:ポン・ジュノ 出演:キム・ヘジャ(トジュンの母)、ウォンビン(トジュン) ☆トラックバックは何がなんだか…ひじゅに館へお願いします☆ http://yakkunchi.blog90.fc2.com/tb.php/558-1eade51f ☆応援クリック、よろしくお願い致します☆ にほんブログ村 人気ブログランキングへ blogramランキング参加中! ☆映画&ドラマ感想は「REVIEWの部屋」に纏めてあります☆ やっくんち
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Last updated
2012.07.04 16:06:24
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