賃貸業　の　デジタルトランスフォーメーション（DX）

重要事項説明書の交付は、DX・オンライン化していいとは思う。
でも、寿命が近い設備や経年劣化を抱える物件においては、
重要事項の「説明」そのものは、
物件（現地）で現物を目視確認しながら行うほうが、
入居後のクレーム・トラブルを減らせそうな気がする。

ネット回線を通じて、写真や動画を音声解説したって、
モニターは2次元なので、
窓サッシの開け閉めの滑り具合、トイレの水の流れ方や浴室シャワーの水圧、
外部騒音の聞こえ方　・・・etc・　
人それぞれ感じ方は違うし、許容範囲が異なるような項目のうち、
特に重要事項説明に加えておいたほうがいいものがあるときは、
「これが、この物件の標準なのだ」と検討者に物件仕様・状態を
実感・理解してもらうことが、ミソなのだと思う。

中古車を選ぶとき、同じ車種・グレード・年式であっても、
オプションの有無で価格がバラバラになるし、
エンジンの調子、ボディ・足回りの状態、座席の傷み具合なども、
試乗してみて、納得いくかどうかを確かめてから、
その値段で買うかどうか判断するみたいに。

まあ、経験と勘で、スペックだけで、
実物を見ずにスピード重視で決定するのも有りなのだけど、
その場合は、購入後に、少々思うところと違う部分があっても、
後になってから文句をつけてはいけないのと同じで、
賃貸契約でも、現地確認を経ずに、
オンラインで室内写真・動画で状態を見て重要事項説明を受けて、
納得して契約も済ませてしまう決断をしたのならば、
入居してから、思ってたのと違うだの、これは不具合だと思うだの、
言うてはならないと思う。
契約を簡単に反故できるような流れを生んでしまわないように、
DX・オンライン化の仕様・運用要領を固めていかないとアカン。

コロナ禍で、「オンラインでつながる」便利さは確認できて、
何でもDX・オンラインで済ませてしまうことも可能な気はする。

でも、対面でないと得られない確信もある。
契約では最上位で重要な「本人確認」はオンラインで行うより、
少なくとも初めは対面で、きっちり、とことん行うほうがいいと思う。

DX・オンラインで済ませてしまう契約では、
本人確認書類の転流用・偽造・悪用する輩が増えかねないし、
フェイク動画、アバターが悪用されるような時代が来てしまうかもしれない。
精巧なデジタル処理された「なりすまし」は、見破りにくそうだし・・・。

本人確認は、
運転免許証・パスポート・健康保険証などの写し単品で行うのではなく、
対面で、その人の経歴を、対話のうちに、突合せしていく中で、
違和感とか、契約不適合とかの判断をしていくアナクロ手法が、
確信を得やすいのかもしれない。
その人の経歴を、第三者の証言・確認を取っていくことでしか、
本人（の人生）を確認することができないんじゃないかと思う。
なので、運転免許証を本人確認書類として利用するときは、
本当に重要な情報は、
「どこの教習所で、どのくらいの期間をかけて」免許取得したのかの
経歴（ストーリー）なような気すらする。
生年月日、現住所、氏名なんてのは、
単なる「表札」のようなもんでしかない。
ちょっと田舎で、同じ姓が多い地区の小中学校では、
同じ姓の、同じ誕生日のクラスメイトが、結構な確率で存在してるしな。
住所かて近いしな。　
そいつが、どんな風体で、どんな性格で、
どんな部活をして、どんな奴と連れなのか、みたいなもんのほうが、
そいつの判別基準になる。

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我の姓は、全国的にありふれたもの。
我の名も、全国的にありふれたもの。
そんな、ありふれた姓と名の組み合わせでは、
ネット検索してみたら、
我と同姓同名の、同年代で、同じ行政区内で活動してる人が、複数いたりする。
生年月日までも一致することは稀なのかもしれないけど、
田中、鈴木、佐藤、高橋などのメジャーな姓ならば、
近所に、名も生年月日も一致する人がいるかもしれない。

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DX・オンライン化すると、
その運用維持・更新に、多額の費用が固定費となって嵩むこともある。
運用維持・更新のために費やされる労力も馬鹿にならない。
釣り合うのか？？

「自宅と相手先の往復時間や交通費が節約できる」なんて意見も、
毎日のことならば、釣り合うのかもね。
しかし、年に1度あるかないかのような取引・用事についてまで、
DX・オンライン化を求めると、
その代償が、代金の請求としてカウンターで反ってきてもしょうがない。

節約のための行動が、最終的には、節約になっていないで、
節約できた気になるだけかも。

最近、デジタル化が進むほどに、
その対応・運用・管理・更新が負担になってきている。
作業が増えていくばかりに感じているのは、
我だけじゃないと思うのだけど？？