チェルカスキーのピアノ その2
濃い二日間だったから、何回かに分けて書こうと思う。11月26日宇都宮へ行った。そこで先輩調律師と会って車で迎えに来てくれたお客様とレッスン室へ向かった。愛情の深い方で、私のような若造を相手にいろいろおしゃべりをしてくれた。「ここです。」外見はよくある平屋の貸家。中に入ると、なんとグランド3台。ヤマハのG5と、イギリスBBCにあったIBACH、そしてチェルカスキーが所有した最後のスタインウェイB型である。ドイツではイバッハといったけど、イギリスではアイバッハとなるそうだ。NBAの76ersのアイバーソンみたいな感じかな。ちなみにベヒシュタインはベクシュタイン。家の内装は、漆喰の壁、大きな梁がある空間に改造され、とっても自然な感じ。いい仕事が出来そう。これらのピアノがどうしてここにあるか。いろいろ説明してもらったが、ここでは不思議な理由とだけ書こう。チェルちゃんのピアノ、ひと目見ただけで、いろいろな違和感を感じた。そして音を出すと詰まる。ひどい! 鉄骨だけでも、見た目からいろいろ不可思議な事があった。刻まれた文字に黒塗りされていないこと、ピン板ボルトが垂直にねじ込まれていない事、高音部の弦が通常よりも斜めに張られていること。その他鍵盤にしても、ハンマーにしても。 なんなんだこのピアノは。今回はこれらの細かい問題を解決する前に、音が詰まる原因を無くすのが目的。手段は、弦圧調整である。それはそれは異常に高い弦圧だった! いい音になれば、これらはあまり気にならないもんである。ちなみにこのピアノ、チェルちゃんがオーバーホールを依頼し、修復し終え数回弾いた後、彼は亡くなったらしい。つまりオーバーホールしてからほんの少ししか弾いていないとの事。写真はレッスン室。奥からIBACH、STEINWAY,YAMAHA