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心臓手術体験記(大動脈弁閉鎖不全症弁置換術)

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2017.06.15
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カテゴリ:心臓
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心房細動という不整脈があると、
心臓の中の血流が滞って血栓が出来、
それが脳の血管に詰まって脳梗塞(脳塞栓)を起こす原因となります。

その予防のために今でも広く使用されているのが、
血液が固まる(凝固する)のを抑える抗凝固剤のワルファリンです。

ワルファリンは50年以上前に、
殺鼠剤として開発された薬ですが、
その作用はビタミンKというビタミンと深い関わりがあります。

ビタミンKは骨の健康な発育に必須のビタミンですが、
それ以外に血液が固まる際に必要な、
凝固因子の一部の活性化に関わっています。
ビタミンKが活性化に必要とされる凝固因子を、
ビタミンK依存性凝固因子と呼んでいますが、
このビタミンK依存性凝固因子の働きを妨害するのが、
ワルファリンの作用なのです。

ただ、
ビタミンKに係わる凝固因子の働きを妨害する、
ということは分かっていても、
その詳細なメカニズムは長く不明でした。

それが分かったのは2004年にNature誌に掲載された論文においてで、
ワルファリンのターゲットが、
ビタミンKの再生回路に係わる、
VKORC1(vitaminK epoxide reductase complex 1 )という蛋白質であることが、
初めて明らかになったのです。

さて、
ワルファリンによりビタミンKの再利用が阻害されるということは、
当然ビタミンKが主に働く骨においても、
その影響が大きい可能性があります。

つまり、ワルファリンを継続的に使用することにより、
骨が脆くなって骨折をし易くなる可能性があるのです。

実際に2006年に発表された疫学データでは、
1年以上ワルファリンを使用していると、
未使用と比較して骨粗鬆症による骨折のリスクが、
1.25倍有意に増加していました。

一般論で言って、
心房細動の患者さんの脳梗塞の予防効果と比較すれば、
このレベルの骨折リスクの増加は比較的軽微な有害事象である、
と言うことは出来ます。

しかし、ワルファリン使用者の多くは高齢者で、
高齢者が寝たきりになる大きな要因は骨折ですから、
その患者さんの人生をトータルに考えると、
これは決して些細なことではない、
というようにも考えられます。

ここで問題は、
ワルファリン以外の最近使用されている抗凝固剤では、
そうしたリスクは少ないのか、
ということです。

新しいタイプの抗凝固剤は、
非ビタミンK阻害経口抗凝固剤と呼ばれているくらいで、
そのメカニズムとビタミンKには関連はありませんから、
理屈から言えば、
ワルファリンより骨折リスクは低くなりそうです。

しかし、
実際には直接の比較でそれを明確に証明したような研究は、
これまでにあまり存在していませんでした。

そこで今回の研究では、
非弁膜症性心房細動の患者さんに対して、
直接トロンビン阻害剤であるダビガトラン(プラザキサ)と、
ワルファリンを使用した事例を、
香港の公立病院の医療データから抽出し、
骨折リスクに関しての両薬剤の比較を行っています。

両群に振り分けには、
傾向スコア(プロペンシティスコア)と呼ばれる手法を応用しています。
これは処方された患者さんの背景などを、
傾向スコアとして解析し、
同じスコアを持つ患者さんを両群に均等に振り分ける、
という方法によって行われるもので、
従来の方法よりも精度の高い比較が可能だと、
考えられています。

これは最近流行りの手法で、
データ自体は後から抽出したものなのですが、
傾向スコアを用いて振る分けをすることにより、
最初から患者さんを登録して観察したようなデータに、
近い精度のものに近づくという考え方です。

新規に非弁膜症性心房細動と診断された51496名の患者さんのうち、
傾向スコアによって、
ダビガトランが処方された3268名と、
ワルファリンが処方された4884名が比較されています。

観察期間中にダビガトラン群の32例(1.0%)と、
ワルファリン群の72例(1.5%)に骨粗鬆症性の骨折が発症していて、
ワルファリン群と比較して、
ダビガトランの使用は骨折のリスクを、
62%(95%CI:0.22から0.66)有意に低下させていました。
実際の骨折頻度の差は、
年間100人当たり0.68件でした。(95%CI;-0.38から-0.86)

このリスクは過去の骨折や転倒のあった患者さんのみで解析すると、
骨折頻度の差は年間100人当たり3.15件と拡大し、
相対リスクでは88%の低下を示しましたが、
その一方で骨折は転倒の既往のない患者さんのみの解析では、
有意な差は得られませんでした。

つまり、
ワルファリンはダビガトランと比較して、
骨折のリスクが明確に高いのですが、
そのリスクは骨折や転倒の既往のある患者さんでは、
明確に高いものになる一方、
そうした既往のない患者さんでは、
軽微なものに留まる、という結果です。

従って、
全ての患者さんで骨折予防のために、
ワルファリン以外の抗凝固剤を使用する必要があるかどうかは、
まだ議論の余地のあるところですが、
少なくとも骨折や転倒の既往のある患者さんでは、
積極的にワルファリン以外の抗凝固剤を、
選択するという判断が現時点では妥当なようです。





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最終更新日  2017.06.15 09:00:35
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