JR九州(「九州旅客鉄道株式会社」)。鉄道会社なのに,売上の6割は鉄道以外の収入で,8年連続増収の好業績である。1987年の国鉄分割民営化の会社スタート時は,JR北海道,JR四国とともに「三島(さんとう)JR」と称され,300億円の赤字に青息吐息の状態であった。それが,高速船,外食,不動産,建設,農業,ホテル,流通,ドラッグストアなど売上の6割を鉄道部門以外の事業活動で8年連続増収。2016年はに東証一部上場,2017年に黒字500億円を達成している。
◆音楽はひとの心を動かす
出典:感動経営 世界一の豪華列車「ななつ星」トップが明かす49の心得 p029~p030
ななつ星の3泊4日の旅で,車内の感動が最高潮に達するのは,4日めの夕方だ。
博多駅を出発し,九州を一周して4日めにまた博多駅に帰ってくる。
博多駅到着の1時間ほど前に,1号車のラウンジにお客さまが集い,みんなでフェアウェルパーティを行う。パーティといっても,どんちゃん騒ぎをするわけではなく,4日間の旅の思い出に撮っておいた写真を,スタッフたちが大急ぎでスライドショーに編集し,スクリーンに映写して,みんなで観賞するというものだ。
お客さまたちは,旅の感動を改めて確認するように熱心に,そして楽しそうだけど,もうすぐ終わりであることを噛み締めながら,えもいわれぬ表情でスクリーンに釘づけになる。
お客さまのため息や感嘆と,車輪の音に,ななつ星オリジナルの曲を奏でるバイオリンの生演奏が重なる。
時間にして,7~8分というところだろうか。
スライドショーが終了する少し前からお客さまたちの醸す空気は,いよいよしんみりとしたものとなってゆく。映像が終わるとともに,ほとんどのお客さまが涙を流しはじめる。半分くらいの方はもう,いわゆる号泣である。
4日間の感動と,いよいよこの旅を終えてしまう感傷が交じりあった感情がこみ上げる。その感情にバイオリンの演奏が拍車をかける。心を揺さぶる。
・・・・・・・(以下 略)
>>>JR九州 豪華列車ななつ星JR九州の鉄道部門の花形-クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」(通称,ななつ星)-は,高額にもかかわらず,2013年の運行開始以来,予約数が定員をはるかに上回る応募が続いている。DX(デラックス)スイート(7号車の最高客室)の過去最高競争率が316倍という人気ぶりである。
●JR九州の「ななつ星」は,豪華車両による寝台観光列車・1泊2日のコースでは,博多駅を出発して湯布院や阿蘇に立ち寄る
・3泊4日のコースでは,宮崎,鹿児島など九州一円を周遊
3泊4日のコースでは,鹿児島から川内と八代を結ぶ肥薩おれんじ鉄道に乗り入れた。列車は隼人駅を午後2時 ごろ出発。鹿児島中央駅を経由し,夕日が美しいことで知られる第三セクター・肥薩おれんじ鉄道の海沿いの路線を走り,川内,薩摩高城,水俣の各駅に停車, 八代に到着する。
東シナ海を臨む新ルートは
・ 地元食材を使った料理を提供
・ 薩摩高城(さつまたき)駅(鹿児島県薩摩川内市)で停車し駅近くの海岸を散策
・景色を満喫できるよう一部区間で徐行
・車窓から海岸線に沈む夕日を眺められる