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カテゴリ:おコメつくり
お米を守るクジラのはなし。
前回のトビイロウンカ関連[こちら]となります。農業技術の歴史や や農薬成立の成り立ちなどのはなしとしまして、よろしかったら。 ↓ 『お米を守るクジラのはなし 』 6月から7月前半にかけて、中国南部から東シナ海を越えて、九州を 中心とした西日本へ飛来してくるイネの害虫が、セジロウンカやトビ イロウンカです。 ジェット気流にのって飛来したくるこのウンカ類は、田植え直後の水 田に侵入、産卵・増殖してイネを加害するイネの大害虫なんですよ。 その被害は甚大です。 たとえば『徳川実紀』という江戸期に書かれた書物などには、「享保 17年(1732)西日本でウンカの大発生によりイネが被害を受け そのために大飢饉がおこって結果として百万人近くもの餓死者がでた」 という記録も記してあるほどなんですよ。じつに怖ろしい大被害だと いえます。 さて、そこでタイトルの、「お米を守るクジラのはなし」ですが・・。 そんな大被害をもたらすウンカから、クジラはどのようにしてイネを まもってくれていたというのでしょうか。 じつは、鯨油が利用されました。 捕獲されたクジラの鯨油(げいゆ)を水面に注ぎ、その油膜で虫の体を 包んで動けないようにするという使用法が広く利用されていたようです。 虫の呼吸器官である気門をふさぐことでウンカを窒息させる方法ですね。 具体的には・・ 田んぼに鯨油をまく ↓ 田の表面に油の膜ができる ↓ 棒やササなどでイネを揺すったり叩いたりする ↓ 害虫を、水面にできた油膜の上に落として窒息させる という方法が取られていました。 この方法は江戸時代後期に発案されて全国に広まり、結果として日本の 米の増収をもたしたと言われているほどに効果があったようですよ。 ウンカが大発生すると、幕府は各地の代官に対して鯨油による注油駆除 を布達した・・・との記述も多数残っていることから、鯨油をつかっ たこのウンカ駆除法は、幕府お墨付きの農業技術であったことが判明し ております。 つくづく クジラには、感謝ですね。 油を水面に垂らして水を落とし、イネの茎の表面に油分を つけることで水面に漂うモンガレ病の菌の付着を防いだり 鯨油を牛馬のからだに塗りつけることで、アブなどの吸血 害虫の被害から牛馬を守るという使用方法も行われていま した。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 15, 2020 11:23:17 PM
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