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カテゴリ:読んだ本
この本は、なんと10年間くらい積ん読状態になっていたのだが、思い立って読み始め、一気に読んだ。
買ったときも、さっそく読みはじめたのだが、人間関係が錯綜していそうで、面倒になり、数頁で止めたのだったが、今にして思えば、こんな面白いのになぜ…と思う。まあ、あの頃は結構忙しかったからかもしれない。 シェークスピアの戯曲というと非常に高尚なイメージがあるが、実際には、非常に通俗的で、後の大衆小説のかなりのパターンが含まれている。そしてこの「十二夜」も、美しい双子の兄弟、男装の女性、勘違いからくる恋のドタバタとハッピーエンドの結末というように、今でいえば少女漫画や宝塚になりそうな話である。そういえば、実際に十二夜を原作とした少女漫画(かなりの傑作)を読んだことがある。 人間の考えることには、どこか共通性があって、この美しい双子の男女と男装というテーマは平安時代の「とりかえばや物語」にもみられるし、ラブコメ要素はないが、「ブラックジャック」にもそんな話があったように思う。 そしてもう一つ、映画「恋に落ちたシェークスピア」でも、この「十二夜」が大きなテーマになっていた。当時は女性の役を変声期前の少年がやることになっていたが、シェークスピアの恋人となる女性は、初めて女性として舞台にたち、最後はアメリカ大陸に渡り、そこで自分の足でさっそうと歩き始める場面がラストシーンとなっている。そして恋人の名は「十二夜」の主人公と同じヴァイオラ。 この恋は全くのフィクションなのだが、もしシェークスピアに恋人がいたら、こうした強い女性だったのだろうという発想は面白い。 シェークスピアの戯曲が時代を経ても古さを感じさせず、たえず現代風にアレンジされつづけているのも、人物造形、特に女性の造形が今に通じるものがあるからかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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