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テーマ:DV・虐待(98)
カテゴリ:DV
先日の虐待防止学会のある分科会でDV被害者がパネラーとして話されていました。離婚してかなりの年月になるけれど、彼女は離婚に到るプロセスと離婚後のプロセスを語ってくださいました。
彼女の語りはいろんな被害者の語る、被害者の傷付きの深さと、そこから立ち直る事の困難や回復の難しさ、と共通するものでした。 で、私が何かお話に期待したかったのは、真実の回復に到るプロセスですが、残念ながら、彼女の傷つきや不安はまだ癒される事なく続いているとの事、聴いてる私も胸が痛みました。 彼女の語りには語られる事のなかった、不安や痛みからの解放を彼女が一日も早く自分のものにされる事を願ってやまない私。 私も少なからず被害女性のお話を聞かせて頂いてきましたが、私なりに、被害者の傷つきの癒し、不安からの解放に一日もはやく到るように、支援してきました。 で、一般の女性相談、被害者支援と私の援助が異なるのは、加害者対応の有無です。加害者を野放しにするのは危険ですし、ヒートアップした加害者に対してそれなりの対応もできなければ、被害者は不安から逃れられません。 私は加害者に対してカウンセリングやグループワークを行いますし、それを拒む場合は被害者の安全確保のための様々な手だても考えます。シェルターへの緊急保護はもちろん、緊急電話対応、長期的な安全確保のための保護命令申し立てや、法的処置への助言もアドボカシーとあわせて行うことも可能です。 被害者に対して加害者の心理状況などを知らせる事も被害者の安心感を高めるには大切な事ですし、加害者がヒートアップしないような対応や非暴力化していく対応を順次進めていく事は、被害者の安全確保には不可欠です。 いずれにしても、被害者が加害者から逃げ続け不安な日々を送るという事にはならないように支援していきます。同居が危険であれば双方の合意のもとの別居もあるし、どうしても結婚が無理であれば修復的離婚という選択をされる方もおられます。 被害者支援よりも上手に、警察よりも柔軟に、加害者対応しながらの被害者支援があれば、被害者が加害者の攻撃を恐れ続ける必要は随分すくなくなります。被害者の回復や癒しには、加害者に対する不安や怒りから解放される事が必要だけれど、そのためには加害者の脱暴力支援なり、もう少しハードな加害者対応も時には必要。 その仕組みや援助論が法的制度的に認知されていない今の日本の状況では、本当に被害者が回復するのはとても難しい事と思います。被害者が不安や悲しみや怒りに苛まれながら暮らす日が一日でも少なくなる事を願ってやみません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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>で、一般の女性相談、被害者支援と私の援助が異なるのは、加害者対応の有無です。
>被害者に対して加害者の心理状況などを知らせる事も被害者の安心感を高めるには大切な事ですし、 虐待防止学会のこのDV被害者はこれらのフォローを経験されているのかいないのか、とても興味のあるところですが (2008/12/16 11:30:24 AM)
自分自分さん
>虐待防止学会のこのDV被害者はこれらのフォローを経験されているのかいないのか、とても興味のあるところですが 分科会の面子から推測することと、その方の語りからは、加害者対応の支援が有効であることなど、まったく信じておられない雰囲気でした。いろいろとお伝えしてさしあげたいことはあったけれど、それを受け止めることも理解することもできないだろう、状況と判断したので、あえて何もいいませんでしたが。 被害者支援がカルト化し、被害者が心理的に囲い込まれていく状態は胸が痛みます。 ----- (2008/12/16 12:53:20 PM)
僕も、今、自分を再生させたいです。
僕は、ずっと少年の頃のトラウマを引きずって中年になって、過去のことはやっと整理はついてきました。思えば長い道のりでした。 これからは、生まれ変わって、新たな人生を生きていきたいですね。そのためには傷ついた過去をどこかに終わなくてはならないですよね。 この際、何か吹っ切れるようなことをしなきゃいけないですね。何かないかな? (2008/12/16 01:43:45 PM)
>被害者に対して加害者の心理状況などを知らせる事
などのフォローもなさそうでしたか?私は加害者の立場ですが、被害者の途中経過を知ったことで、不安や恐怖が激減した経験があります。。こういう接触には草柳さんは反対のようですけど、信田さよ子さんは有効とされているように思います。 傷付きの深さと、そこから立ち直る事の困難や回復の難しさは加害者にも同じようにあるのです。加害者支援だけはカルト化しなければいいですね。 (2008/12/16 01:53:30 PM)
もう何年も前、「記憶を残したままこの傷が癒えるとはどういうことだろう?」と思いました。
回復した被害者のモデルを探しましたが、どんな本や資料を見ても見つかりませんでした。 被害者の分析ばかりを読んで、飽き飽きしました。 でも絶対に元気になってやる!と思い続けていました。 何年かはかかりましたが、実際に私は元気になり、もう被害者ではありません。(被害者支援はいっさい受けていません) それで「当事者」という言葉が気になったりもしていました。 すでに当事者ではありませんから。 でも味沢さんのおっしゃる「当事者性」を持っていると認識はしました。 私は私の回復の過程を、知りたいと思ってくださる方に語り続けています。 できればもっと人に伝わりやすい言葉を、見つけたいと思っています。 味沢さんのDVに対する文章を読んで「私が考えていたのと同じことがきちんと分析されて語られている」と感じることがよくありますので。 (2008/12/16 11:05:21 PM)
MAYUさん
>僕も、今、自分を再生させたいです。 そうですね、すでに再生ははじまっているように見えますよ。 >僕は、ずっと少年の頃のトラウマを引きずって中年になって、過去のことはやっと整理はついてきました。思えば長い道のりでした。 お疲れさまです。これまでの困難に意味付けしていけるといいですね。でないともつたいない。 >これからは、生まれ変わって、新たな人生を生きていきたいですね。そのためには傷ついた過去をどこかに終わなくてはならないですよね。 過去は変えられないけれど過去の意味は変えられる、これからどのようにも。 >この際、何か吹っ切れるようなことをしなきゃいけないですね。何かないかな? すんません、カミングアウトのための立たない男の本、あれはその吹っ切れる事ですよねえ。私も落ち着いたら、書き進めたいです。 ----- (2008/12/17 01:08:48 AM)
自分自分さん
>>被害者に対して加害者の心理状況などを知らせる事 >などのフォローもなさそうでしたか? 今の被害者支援は加害者(脱暴力支援)サイドとの接触はタブーとしてますから、あり得ませんね。言われるのは、加害者は変らない、プログラムは無駄、とにかくだまされるな、逃げろ、接触するな、すべて、警察と弁護士に任せろ、と言う事です。 >私は加害者の立場ですが、被害者の途中経過を知ったことで、不安や恐怖が激減した経験があります。 それはよくわかります、相手を知らないと不安が妄想を呼び、さらに不安になります。事実をしれば妄想からの不安はなくなります。 >こういう接触には草柳さんは反対のようですけど、信田さよ子さんは有効とされているように思います。 草柳さんはどうみても修復は考えてないし、あおって、自分が仕事を有利に運びたいということと理解してます。信田さんの言動は私はあまり信じていないので、なんとも言えませんね。 >傷付きの深さと、そこから立ち直る事の困難や回復の難しさは加害者にも同じようにあるのです。加害者支援だけはカルト化しなければいいですね。 そうなんです、カルトにしてはいけませんよねえ。常に冷静で客観的且つ人間的慈愛に満ちた援助でありたいと思います。 ----- (2008/12/17 01:19:53 AM)
まなさん
>もう何年も前、「記憶を残したままこの傷が癒えるとはどういうことだろう?」と思いました。 過去の体験が痛みではなく、勇気と自尊の根源になれば、ほんとの回復と理解していいのかな、と思っていますが、まなさんは? >回復した被害者のモデルを探しましたが、どんな本や資料を見ても見つかりませんでした。 >被害者の分析ばかりを読んで、飽き飽きしました。 まなさんのように支援なしで勝手に回復されるのは困るんでしょうねえ、専門家には。ないものとして蓋をしているのかも。まあ、勝手な回復があったとしても、それをレジリエンシー尺度としてまた分析の対象にして仕事しようとするのが専門家ですから。 > >でも絶対に元気になってやる!と思い続けていました。 >何年かはかかりましたが、実際に私は元気になり、もう被害者ではありません。(被害者支援はいっさい受けていません) 被害者支援には都合の悪い存在ですよねえ。(笑) >それで「当事者」という言葉が気になったりもしていました。 >すでに当事者ではありませんから。 >でも味沢さんのおっしゃる「当事者性」を持っていると認識はしました。 渦中のとうじしゃではないにしても、抑圧の社会構造の中で生きる私たちは誰かを知らない間に傷つけ、また知らない間に誰かに傷つけられていきている、と言う意味では、私たちはすべて当事者と言えなくもない。微妙なそこらあたりを表現するのに、当事者性という言葉は伝わりやすいかなっと考えています。 > (2008/12/17 01:47:47 AM)
まなさん 続きです
>私は私の回復の過程を、知りたいと思ってくださる方に語り続けています。 語ってくださいな。いろんな方に、そして世界に。被害者もいろいろ、回復もいろいろあるよって。分析の前に、聴けよって。 >できればもっと人に伝わりやすい言葉を、見つけたいと思っています。 そうですよねえ、人に伝えるのは難しいですからねえ。 >味沢さんのDVに対する文章を読んで「私が考えていたのと同じことがきちんと分析されて語られている」と感じることがよくありますので。 理解してくださっていること、嬉しく思います。専門家には届かないか黙殺される私の言葉、当事者(広義)の方にはすっと入るし、理解してくれるという事、しばしばあります。当事者(広義)の方にエンパワーメントされる私です。 ----- (2008/12/17 01:48:53 AM)
URL=http://maachin.kt.fc2.com
が私が見つけた唯一の回復者、あるいは加害者が直ったモデルです。ご参考までに (2008/12/17 07:47:16 AM)
自分自分さん
>URL=http://maachin.kt.fc2.com >が私が見つけた唯一の回復者、あるいは加害者が直ったモデルです。ご参考までに ありがとうございました。のぞかせて頂きました。たしかにここまでの回復はほんとの回復ですよねえ。多くの被害者がこんな方のように回復されてほしいものですね。離婚、別居、同居のいずれであっても。 ----- (2008/12/17 09:19:59 AM)
自分自分さん つづきです
ネットでは、少ないけれど、私の周辺では、カミングアウトしないけれど、回復していかれた、両当事者はたくさんおられます。回復はごく普通の事なんですけれどね。 >URL=http://maachin.kt.fc2.com >が私が見つけた唯一の回復者、あるいは加害者が直ったモデルです。ご参考までに ----- (2008/12/17 09:26:10 AM)
じゃふれくさん
ネットには、といえば・・・「DVにはサイクルがあると言われています」と始める人が圧倒的多数ですね。確信があって意見に責任を持つ気なら、せめて「あります」と断言すべきですね。(私は「加害者」ですが、自分の場合このDVのサイクルというのが当てはまらないタイプではないかと感じています。) 同じように「加害者は直らない」というのも、どうやら「・・・といわれている」「そう考えるべき」ということのようで、こういうのが数の力で正しいことと思われてしまっているようです。私は最近、「加害者は一般的はに直る。ただし、私個人が直るという意味ではない」と断言するのが本当だという気がしています。 (2008/12/17 10:04:04 AM)
自分自分さん
>ネットには、といえば・・・「DVにはサイクルがあると言われています」と始める人が圧倒的多数ですね。 そうなんです、行政の女性相談で被害者に言われる言説はほとんど根拠はないものばかりです。 >確信があって意見に責任を持つ気なら、せめて「あります」と断言すべきですね。(私は「加害者」ですが、自分の場合このDVのサイクルというのが当てはまらないタイプではないかと感じています。) そう、無責任がまかり通っています。 >同じように「加害者は直らない」というのも、どうやら「・・・といわれている」「そう考えるべき」ということのようで、こういうのが数の力で正しいことと思われてしまっているようです。私は最近、「加害者は一般的はに直る。ただし、私個人が直るという意味ではない」と断言するのが本当だという気がしています。 被害も加害も単純ではありません、当人だけの問題ではなく、様々な人間関係や体験、背後の社会状況などファクターは様々で、それらを冷静に客観的に広汎に観察し判断する力がないと、支援は難しいでしょう。残念ながらその力のない専門家ばかりです。 ----- (2008/12/17 08:37:54 PM)
>過去の体験が痛みではなく、勇気と自尊の根源になれば、ほんとの回復と理解していいのかな、と思っていますが、まなさんは?
その通りだと思います。 私はDVを経験する前の自分より、今の自分の方が好きです。 経験から得たものがたくさんあります。 >被害者支援には都合の悪い存在ですよねえ。(笑) そこまで考えてはいませんでしたが、別の意味で悲しかったことはあります。(汗) 私の存在は「加害者が治るという誤解を被害者に与える」という意味で、 被害者の支援者には目障りらしいと知りました。 また、被害者が「この人にはできたことが自分には出来ない」と自らを責めるだろう、とも聞きました。 当時はまだ回復の途中でしたし、私は被害者を危険な目に追い込む存在なのかとショックでした。 でも間もなく「事実を語って何が悪い」と思えるようになりましたし、 語ることが誰かの役に立つ、といううれしい経験をたくさん出来ました。 (ちなみに私も、離婚せずに回復した(あるいは進行中)のカップルを複数知っています。) ちょっと内容がわかりにくくなってしまいましたね。 ここで味沢さんが「都合が悪い」とおっしゃったのは、私自身の回復のお話で、 私が「被害者に危険を与える」と疎まれたのは、夫婦関係の回復のお話です。 (2008/12/17 10:30:55 PM)
まなさん
>私はDVを経験する前の自分より、今の自分の方が好きです。 >経験から得たものがたくさんあります。 そうですよね、体験を人生の意味付けにできれば、人は成長しますよね。 > >>被害者支援には都合の悪い存在ですよねえ。(笑) はい、この部分はまなさんの回復です。 > >そこまで考えてはいませんでしたが、別の意味で悲しかったことはあります。(汗) 確かに、ご自身の体験を語る事が被害者を危険にさらす事と言われたら悲しいですよねえ。 >私の存在は「加害者が治るという誤解を被害者に与える」という意味で、被害者の支援者には目障りらしいと知りました。 それもよくわかるロジックですよねえ。被害者支援は脱暴力は絶対的に不可能との前提で話を進めているけれど、それ自体根拠も何もない妄想で、回復したというまなさんの事実こそが真実ですし、何も語る事を躊躇する事はないですよね。真実を伝える事が当事者の正しい判断の元にならないはずがない。 (2008/12/18 02:21:49 AM)
まなさん 続き
>また、被害者が「この人にはできたことが自分には出来ない」と自らを責めるだろう、とも聞きました。 そこはビミョーなところで、支援の有無とかとりまく状況は様々ですから、発言は慎重にでも正確に確信を持って、ということでしょうかねえ。 >当時はまだ回復の途中でしたし、私は被害者を危険な目に追い込む存在なのかとショックでした。 ショックな体験をされた事、よくわかります。 > >でも間もなく「事実を語って何が悪い」と思えるようになりましたし、 >語ることが誰かの役に立つ、といううれしい経験をたくさん出来ました。 そうそう、真実こそなによりの正義。 >(ちなみに私も、離婚せずに回復した(あるいは進行中)のカップルを複数知っています。) 離婚して回復して同じパートナーと再婚したケースをいくつも知っています。典型的な修復的離婚のなせる技です。 > >ちょっと内容がわかりにくくなってしまいましたね。 >ここで味沢さんが「都合が悪い」とおっしゃったのは、私自身の回復のお話で、 >私が「被害者に危険を与える」と疎まれたのは、夫婦関係の回復のお話です。 よくわかります。ありがとうございました。 ----- (2008/12/18 02:22:38 AM) |
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