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カテゴリ:歯・歯周病・噛みあわせ・口臭・味覚・口
本当は怖い家庭の医学(診察日:5月20日 )より
『本当は怖い飲み込みにくさ~ひび割れの器~』 A・Kさん(女性)/57歳(現在) 主婦(パート勤務) 子供も独立し、夫と楽しい第二の人生を送るはずだった 主婦のA・Kさんは、この春から姑と同居。 何かと気を使うことが多くなった上、 パート先でも新人の教育係を任され気苦労が増えていました。 そんなある日、あわてて食べた訳でもないのに、 なぜかクッキーが喉につかえて飲み込みにくく感じたA・Kさん。 それはほんの小さな異変に思われましたが、 その後も新たな異変が次々と襲いかかりました。 最初の異変から1ヶ月 新たな異変が起こります。 前歯に口紅がべったり… さらに中のいい同僚から告げられたショックな一言。 「最近 お口が臭うわよ。」 自分自身は口臭に全く気がついていませんでした。 それ以来人一倍口臭予防に努めるようになったA・Kさん。 戸惑うA・Kさんに今度は姑から料理の味付けが濃いと… 自分ではちょうどいいと思ってい聞き流そうと思っていたら 今度は夫からも同じことを指摘されてしまった。 それから3ヵ月後 当たらない変が襲った。 お弁当を口にしたとたん舌に痺れるような痛みが… 特に傷があるわけでもないのに… 飲み込みにくいなどの症状は相変わらず続いていた。 これが病魔の最終警告だった。 ほとんど料理の味を感じられなくなってしまった。 症状 (1)乾いた食べ物が飲み込みにくい (2)歯に口紅がつく (3)口が臭う (4)舌が痛む (5)味を感じない 病名 ⇒ ドライマウス(口腔乾燥症) ⇒ 味覚障害 <なぜ、飲み込みにくさから味覚障害に?> 「味覚障害」とは、舌の表面にある味蕾という 味覚を感じる器官が異常をきたし、 食べ物本来の味を感じられなくなってしまう病気です。 最大の原因は、極端な偏食などが引き起こす亜鉛不足。 亜鉛が不足すると、味蕾の新陳代謝が進まず 機能が低下、味を感じられなくなります。 しかしA・Kさんは、とりたてて偏食というわけではなかったはず。 では何故、味覚障害になってしまったのでしょうか? 実はその陰には、いま患者数が激増している、 もうひとつの現代病が潜んでいました。 それこそが、「ドライマウス(口腔乾燥症)」 「ドライマウス」とは、その名の通り、 何らかの原因によって口の中が乾燥してしまう病。 現在、日本人の潜在患者数は、およそ800万人。 予備軍を含めると、実に3000万人以上が この病にかかっていると考えられています。 その原因は、唾液の分泌量の低下。 そもそも唾液は、食べ物の消化を助けたり、口の中を清潔に保つなど、 数多くの重要な役割を果たしている分泌液です。 その分泌量は、実に一日約1.5リットル。 ところが、詳しい検査の結果、A・Kさんの唾液量は、 通常の10分の1にまで激減していました。 一体なぜそんなことになってしまったのでしょうか? ドライマウスの原因は、薬の副作用や他の病など、実に多種多様。 =ドライマウスの原因= 薬の副作用、老化、更年期障害、食べ物をよく噛まない 筋力低下、がん治療などの放射線障害 シェーグレン症候群、糖尿病、脳血管障害、うつ病、腎臓病など しかし彼女の場合、最近特に増えてきている、 もうひとつ別の原因「ストレス」が関係していたのです。 そもそも唾液の分泌は、自律神経によってコントロールされています。 リラックスして副交感神経が活発になると、唾液の量は増加。 逆に緊張し、交感神経が活発になると減少します。 結婚式のスピーチで口が渇くなどが、いい例です。 A・Kさんの場合、介護やパート先の出来事が、ストレスとなって蓄積。 自律神経のバランスが崩れ、交感神経が絶えず活発な状態になっていました。 そのため、一日中、唾液の分泌が極端に悪い状態に陥っていたのです。 結果、口の中が渇き、あの「乾いた食べ物が飲み込みにくい」 という症状が現れました。あれは「クラッカーサイン」と呼ばれる、 ドライマウスの最も典型的な初期症状だったのです。 さらに唾液量の低下は、口の中の雑菌の増加という恐るべき事態を招きました。 通常、口の中にいる常在菌は、唾液によって定期的に洗い流され、 唾液の抗菌物質により一定量に抑えられています。 しかし、唾液が減るとこの洗浄効果が低下。 カンジダ菌というカビの一種が一気に増殖し、炎症を引き起こしてしまうのです。 実際のドライマウスの患者さんの舌を見ると、カンジダ菌が増えた結果、 白い苔のようなものが付いているのが判ります。 これが「口臭」や「舌の痛み」の原因でした。 この状態を放置した結果、ついに炎症は味を感じる味蕾にまで及び、 その機能が極端に低下。 A・Kさんは、ほとんど味を感じることができなくなってしまったのです。 味覚障害は、味蕾が完全に壊れていなければ治る病気です。 だからこそ、ドライマウスを早期発見することが何よりも大切なのです。 あなたは最近 ストレスを溜め込んではいませんか? 乾いた食べ物が 飲み込みにくくはないですか? そして何より 唾液の量が減ってはいませんか? ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆ メディカルホラーチェック 2分で分かるドライマウス検査「サクソンテスト」 実際の医療現場でも広く用いられている。 1)ガーゼを口の中に入れる ガーゼは市販の12折りで7センチ四方の大きさ。 2)1秒に一回の割合で2分間 ガーゼをよく噛み唾液を染み込ませる。 3)2分経ったらガーゼを出しシャーレの中に入れる。 4)計量器で唾液の重さを量る。 ⇒唾液の重さが2グラムを超えると合格 ⇒2グラム以下ならばドライマウスを診断 ドライマウスの診断基準 3ヶ月以上 口の渇きや飲み込みにくさ等の症状が続く。 意外と知らない唾液の働きとは? 唾液の成分は99.5%は水。 しかし残りわずか0.5%の中に様々な成分が含まれ 私たちの体を健康に保つ重要な働きをしている。 たとえ唾液の量が十分でもその働きが落ちていると 恐ろしい病が引き起こされることもある。 唾液の働きは主に4つ 1)消化作用 唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれている。 アミラーゼが食べ物に含まれるでんぷんを糖に変え消化吸収を助ける。 ご飯などでんぷんを多く含む炭水化物が 噛むほど甘くなるのはアミラーゼの働きのため。 2)粘膜保護作用 唾液に含まれるムチンという成分には唾液に粘り気を与える働きがある。 これによって口に中の粘膜を保護している。 納豆、山芋、オクラのネバネバはムチンが多く含まれているため。 3)歯の保護作用 歯の表面はエナメル質という硬い組織で覆われている。 唾液に含まれるカルシウムやリン酸は食事のたびに やわらかくなるエナメル質を硬くしなおし 歯を虫歯から守っている。 また口の中を虫歯菌が増えにくい中性に保つのも唾液の重要な働き。 4)抗菌作用 唾液の働きの中でも重要な働き。 唾液には様々な抗菌物質が含まれている。 外部から口に入ってきた病原菌を退治する。 つまりこれらの働きが低下すると口の中の様々な菌が 退治できず増殖しやすくなってしまう。 すると風邪やインフルエンザなど様々な感染症にかかりやすくなる。 そればかりかこうした病原菌が肺に侵入すると 死につながる恐ろしい病を引き寄せてしまうこともある。 「誤嚥性肺炎」 高齢者(75歳以上)No死亡原因第一位 肺炎の中でも最も多い病。 年間死者数7万人。 口の中の菌が原因。 唾液の働きが低下すると病気になる危険性が高まる。 今度のホラーチェックは唾液の抗菌力検査 口の中の菌の状態を調べることで唾液の抗菌力をチェックした。 その目安となる菌こそ「カンジダ菌」 誰の口の中にもいるカビの一種。 普段は唾液の抗菌力で増殖が抑えられている。 抗菌力が低下すると最初にカンジダ菌が増殖する。 そこでゲスト患者の唾液に含まれるカンジダ菌の量をチェックした。 「リンス法」 1)滅菌処理を施した水で 1分間口をゆすぎ 吐き出す。 2)その水から10ミリリットルを採取し 菌が繁殖しやすい培地に移す。 3)30度に保たれた保温器で2日間培養する。 正常な場合はカンジダ菌は増殖せず培地は変化なし。 抗菌力が低下しているとカンジダ菌が増殖しコロニーを多数形成。 フットボールアワーの後藤さんがレッドゾーン! キスをするとコロニーは移動する? 人から人へ移っても通常の抗菌力で菌の増殖は抑えられるので大丈夫。 相手の免疫力が落ちていなければ大丈夫。 ストレスや喫煙等が原因で 唾液の抗菌力が低下している可能性あり。 禁煙やストレスケアに気をつければ唾液の抗菌力は上がってくる。 家庭でできるドライマウス簡単予防法 唾液分泌促進トレーニング 「リップトレーニング法」 1)口の両端を引き上げ「イー」の形を作る。 2)口を尖らせ「ウー」の形を作る。 3)「イー」「ウー」を交互に繰り返す。 ポイントは「イー」の形を作る時 前が見えるまでしっかり口を開く。 1セット10回を1日2セット行う。 唾液腺を動かす筋肉が鍛えられ唾液の分泌を促す。 唾液腺を動かす筋肉が衰えるとドライマウスになりやすい。 「ポッピング法」 1)上あごに舌を当てる。 2)舌をはじき音を鳴らす。 ポイントは舌をしっかりと上あごにつける。 1日20回を1日2セット行う。 舌やその下にある唾液腺を動かす筋肉を鍛え 唾液の分泌を促す。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.05.26 21:26:32
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