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2010.03.07
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カテゴリ:雑誌・書籍
NAVI

 私が毎月24日頃発売のオートバイ雑誌各誌を楽しみにしていた高校生の夏。突然本屋で感動した雑誌があった。表紙にGP350cc世界チャンピオン片山敬済をまるでファッション誌の如く登場させたサイクルワールド誌である。このサイクルワールド誌については後日語るとして、その頃はオートバイの事で頭がいっぱいで4輪なんておっさんが乗る乗り物で、目の前に映し出される風景はスクリーン上のもので退屈という片岡義男ワールド受け売り時代で4輪の免許こそ18才でとったもののあまりクルマには興味はなくなっていた。そんな18才のある日、同級生で今でも数年に一度会う某自動車メーカーでモデラーとして働いているNが、クルマの雑誌を学校に持ってきた。その雑誌はなんだかとてもオトナの世界が広がっていて、まさにクルマ文化満載の雑誌だった。それがNAVIだった。
 Nは服装や色彩のセンスよく、VANのブランドが好きで、スマートで女にもてて私とはすべてが正反対のやな奴(笑)だったが、同じAB型同士ということもあって趣味の世界では話ができた。今になって思えばその彼が異常なほど気に入っていたクルマ雑誌がこのNAVIだった。
 オトナになって再会するとその彼の白いオープンカーにはVANのステッカーとNAVIのステッカーが貼ってあった。

そんな思い出が蘇るNAVIが休刊になるという噂があったのは年が明けてから。あわてて本屋で見ると加藤編集長が局長になり、2年前にアピオにジムニーコンプリートカーを取材にやってきた塩見さんが編集長になると書いてあったので、私は一安心してなんだリニューアルするだけじゃん!いい加減な噂話だなあと勝手に思い込んでいた。
 ところが先日久しぶりに近所の書店でクルマ雑誌の平積みコーナーが1カ所だけ、しかも一冊だけ置かれていたのがNAVIだった。手にとり中身をぱらぱらめくると正真正銘の最終号。最後の一冊を手にとりレジへ並んだ。
 その日ネットを見ると最近シンパシーを感じている方もすでにこのNAVIの事を書いていました。うーむ座右の一冊に引き続きまたもやここでも同じタイミング。
 さて最終号NAVI。結論からいえばなかなか読み応えある内容。それもそのはず。そうそうたる顔触れ。そして読み応えたっぷりだ。
 まずは88Pからの永江朗VS武田徹の対談記事。
そして94P-95Pの田中康夫記事。この何らかの状況でアクセルは踏まれたままだけど新たにブレーキペダルが踏まれたならば、ブレーキを優先するとうコンシュマーインの考え方と、人間は必ず間違いを起こすという可謬性についての記事がとても○。話がそれるが日本で起きた航空機墜落事故で自動操縦解除の誤った解除方法にともなう設計思想についてテレビ番組で討論していたのを思い出した。エアバスA300-600Rという機種が1994年に名古屋空港で発生した中華航空140便墜落事故その4年後のチャイナエアライン676便墜落事故についての番組だったと記憶しているがいずれも訓練を積んだパイロットでさえ時に自動操縦装置の解除方法の誤りあるいはボーイング社との解除方法の相違などについて最終的な危機的状況の中で人間の意志かコンピューター制御か?というかなり深い番組だったことを記憶しているが、クルマの場合、田中氏の指摘通り、とにかくアクセルが踏まれていようといまいと、どうあれとにかくブレーキを踏めば止まるような設計がベストというシンプルな話である。

 話がそれたが、なんと言っても記事で圧巻なのは上記ページにはさまれた92P-93Pの初代編集長と2代目編集長のコラム。
 初代大川編集長は作っていた方が楽しんでいたからだと語り、タダではないという価値がある雑誌を本気で作る気概が必要と語り納得。
 そして2代目の鈴木編集長のページ。最近私が感じていたクルマと文化との話を実にうまく語っていた。
以下引用

「そもそも文化っていうのはヒマ人の物で、ヒマじゃないと文化にはならない。遊んで暮らしている連中が文化を作るわけで、それは自動車雑誌はもちろん自動車だってそうです。つまり文化ってのは常にパトロンが要るわけね。(中略)雑誌を買ってくれる人、あるいは広告を出す人にそれだけ余裕がなくなってるってことなんでしょうね。」と言い得て妙な文章が続き、後半では今や特に自動車メーカーに気概がないと語っていました。

とにかく全般的に読み応えたっぷりの1冊でしてこれで1000円ならば○でしょう。
そういえば少し色気が足りないのが×。別にアラーキーの写真や篠山紀信の女性写真が欲しい意味ではなく(あー欲しいけど、ってどっちやねん)クルマとしての色気ある写真ね。

まあこれだけの執筆陣というか、人脈があり、いい雑誌を作れば買う読者はいますよ。
休刊から蘇るのは案外すぐかもしれませんね。
再びNAVIのいう名の自動車雑誌が書店に並ぶ日を私は心待ちにしています。





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Last updated  2010.03.07 06:58:11



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