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カテゴリ:中国映画
山西省から北京に出てきた17歳のグイは、自転車宅配便のドライバーとして慣れない都会で働き始める。最新式MTBの自転車は貸与だが、規定のお金が貯まったら自分のものになるという仕組みで、自分の印を自転車につけて自分のものになる日を楽しみにしている。 そしてこの日が終われば自転車が自分のものになる、という日に宅配便の集荷を依頼された先でちょっとしたトラブルがあり、何とか抜け出したら鍵をかけて停めたはずの自転車は消えていた。。。 ジェンの高校ではMTBが流行っていて、ジェンも中古屋からMTBを手に入れる。そして仲間たちとMTB遊びを楽しんでいて、近所の同級生の女の子ともいい感じだったが、実はそのMTBはグイの盗まれたもので、ジェンの仲間たちが脅したりしても、ようやく見つけたグイは必死に自転車にしがみつき、ひたすら返してくれとせがむ。話し合いの過程でジェンが家のお金に手をつけたこともばれてしまい、MTBじゃなくてもいいじゃない、という彼女ともぎくしゃくしてしまう。 MTBにこだわるジェンは最終的にグイと一日毎に交替で使うことにして一件落着かに思えたが、ジェンの彼女はトラブルの間に学校で一番MTBが上手い男と付き合っていた。。。 2000年の作品だから、オリンピックのための開発が始まる直前の北京の様子が描かれている。高層ビルとその谷間にあるごみごみとしたバラックの対比が都市と農村の差を象徴している。そして、グイたちが盗み見していた美人もまた、農村から出てきた使用人で、主人の靴や洋服を勝手に着ていたことがばれて行方不明になるなど、格差がくっきり。 ジェンもどういう経緯かはわからないが、義理の家族と一緒に暮らしていて、MTBを買ってもらえる裕福な同級生や、お屋敷に住む彼女とはちょっと違う感じ。 体を張って、ある意味田舎者の根性丸出しで自転車にしがみつくグイに比べると、ジェンは都会っぽい冷めた感じがして、いろんな感情を押し殺しているように見えるが、そうして沸々と心のうちに溜まったマグマが最終的に爆発するときは、そっちの方が怖いんだよなあ。 同じレンガで撲るシーンにしても、ジェンは先が見えない袋小路の中であてもなく行為に及ぶのに対して、グイには明確な自転車を取り戻す、という目標があり、たとえフレームやタイヤが曲がってしまった自転車でも、背負って帰るのだ。 音楽が大仰に過ぎるかな、と思ったけれど、自転車のスピード感溢れる映像は気持ちいい。 たかが自転車、と思うけれど、2000年の、17歳の彼らにとってはとても象徴的なものだったのだな。農村から出てきたグイにとっては都会の象徴として、ジェンにとっては仲間と一緒にいるための象徴として。 8/29 新宿K'sシネマ 中国映画の全貌2010アンコール お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.09.18 00:19:10
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