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カテゴリ:文芸評論
何が二人を結ぶ?
二人の主人公を結びつけるものは、当初から、大まかには想像出来る。 しかし、その実態は、想像をはるかに超える複雑さだ。 当初より、謎だらけであるが、一つの謎の答えに少し近付いたと思ったら、新たな謎が持ち上がる。 しかも、ヒントを小出しに示し、常に次章へのヒキが用意されており、読み始めると、止まらない仕掛けになっている。 著者は医学理工学の分野を得意とするので、リアルなサスペンスに仕上がっている。 鞠子の章と双葉の章が交互に配置されているが、比較的当初からの、微妙な結び付きが面白い。 つまり、特定の人物が、交互に行き来したりしていて、ハラハラとさせられる。 しかし、この作品には、著者らしくない面も、少し感じる。 特に、近年の著者の作品は、我々の心の奥底に、深く訴えかけてくるものが多い。 本作品は、サスペンス性としての面白さが重視されていて、上述の様な面は多くはない。 それは、著者の作品群のレベルの高さ故の、高望みかも知れない。 とにかく、いったん本書を手に取ると、睡眠不足要注意だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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