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カテゴリ:文芸評論
いったい何度死ぬ?
主人公のこの男、各章の最後で、必ず死ぬ。 死ぬのは、主人公のみならず、アウトローの人間達や刑事なども含む。 ところが、主人公は、死ぬ時に何故か、一日だけタイムスリップし、過去に戻る。 これが、幾度となく、繰り広げられ、タイムスリップした後には、いったん死んだ人間も、蘇っている。 物語を貫く、一本の筋がある。 それを、主人公は、何度も死んで、同じ一日を、繰り返し体験する事で、真実に迫る。 タイムスリップする事は、非現実的ではあるが、同じ日を繰り返す事によって、浮き彫りになる事柄も多い。 作品では、バイオレンスと拳銃が多用され、物々しい。 感傷に浸る間もなく人が死ぬが、ハードボイルドとはいえ、時にしんみりとさせられる。 同一の日を繰り返し体験して、見えてくるものがある。 作品は、こういう部分が中核になっており、大変面白い。 何度も死ぬ主人公に、愛着を感じる。 本作品は、傑作だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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