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カテゴリ:文芸評論
兄弟
大阪のド下町を舞台にした、兄弟の成長を描く、青春物語。 大阪弁が多用され、いかにも、大阪のノリであるが、兄弟の、心理の、深い部分までも描く。 阪神タイガースや、吉本新喜劇など、大阪らしい話題には、事欠かない。 物語は、軽妙なペーソスで、満たされている。 しかし、単なる笑いではなく、この兄弟の心理的葛藤を、鮮やかに描いている。 そして、表現がストレートで、文体に、独特の透明性を伴っている。 兄弟それぞれの成長には、非常に多くの人々が関わる。 両親、学友、異性、バイト仲間、そして、この中華料理店に集う人々などなど。 物語中、当初は、弟の方が多くの経験をするが、最も中枢的な経験をするのは、実は兄の方だ。 著者のこれまでの作品とは、少し雰囲気を、異にする。 しかし、兄弟そのものを描いた描いた作品として、極上の味わいがある。 深く感銘を受けた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月13日 03時03分51秒
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