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カテゴリ:文芸評論
浅草観音は何を語る?
本書の形式は、一見短編集の様に見えるが、物語は連続していて、一冊で一つの長編を成す。 主人公の出生そのものも壮絶であるが、その後の、裏社会での生き様も、壮絶極まりない。 物語は、重く、そして、寂しい。 復讐という、裏社会の掟が、主人公を徹底的に支配する。 この様な、掟そのものが、そこはかとなく寂しい。 しかしそれは、主人公が選んだ道ではない。 むしろ、夜鷹である母が、一定の願いを込めて、ある選択をした。 そして、その結果が、本書の展開を導いた。 東京、浅草寺の観音様が、主人公と対峙する場面がある。 夜鷹だった母が、観音様の姿を借りて、何かを語りかけている様にも思える。 表題が意味する事は、少々意味深い。 どっしりと重い読み応えの本書は、様々な事を語る。 読後には、複雑な余韻が、交錯する。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月16日 23時25分11秒
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