|
カテゴリ:文芸評論
想いの空回り、という観点
十二篇の短編集であるが、全作品とも、外れ無く非常に面白く、本書全体を高く評価したい。 そして、どの作品にも、「空回り」という観点が、大なり小なり入っている。 最初に配されている「めぐりびな」では、古い方の雛に対する想い、 二番目の「球春」では、プロ入りして、芽が出なかった先輩を慕う、後輩野球部員の想い、 三番目の「拝復、ポンカンにて」は、ダイレクトに空回りがテーマになっていて、魅力的なオチまである。 こんな風に、作品全体を、こんな観点から読んでも、味わい深い。 我々が一度は経験した事のある、少年または少女時代の思い出と、重なる部分が多くて、共感出来る。 それらは、それぞれが懸命に生きる姿であるが、ほうっという読後感だ。 本書は、私が最近読んだ数十冊の中でも、ピカ一だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年06月29日 17時53分27秒
コメント(0) | コメントを書く
[文芸評論] カテゴリの最新記事
|