SKYMAX127による月面撮影 撮影と画像処理
最近やっと月面撮影を始めました。鏡筒はSkyWatcher社のSKYMAX127、マウントはAZ-GTiの赤道儀モードのなんちゃって組み合わせです。最初にPoleMasterで極軸を正確に合わせました。が、その後は緯度は固定したまま水平方向はおおよそ北に向けて運用しています。おおよその北向きでも、SynScan Proの月モードで追尾すれば月は動かないことが分かりました。 月面撮影機材 初めての画像処理も行い、完成した月面写真が下の写真です。 SKYMAX127による月面撮影 Scope:SKYMAX127, Mount: AZ-GTi(equatorial mode), Camera: zwo asi294 pro, Gain:236, Expose: 30ms, Tracking: moon mode, Stack and wavelet: 45 images by RegiStack6, Mosaic compose: Microsoft ICE. ■月面撮影 1.カメラ撮影 軽めのミラーレスカメラ、Fuji X-E2を常用しています。プラス、x2とx3のバローレンズを入れたりしています。軽めといえどもSKYMAX127には少々重過ぎるようです。重量で光軸が沈んで迷光が出現します。 ミラーレスカメラ+2倍バローレンズ撮影 2.CMOSカメラとAsiCapの組み合わせ CMOSカメラはZWO ASI224MCとASI294MC Proを使っています。画像と動画の両方を撮っています。ミラーレスに比べれば軽く、迷光が入り込むことはありませんでした。 ZWO ASI294MCカメラ撮影■月面の画像処理 1.モザイク合成 1) StellaImage8 全くの初心者なので手探り状態で始めました。最初は、StellaImage8で行いました。下の写真のように、2枚の写真にそれぞれ2点基準点を入れ、明るさを整えてモザイク合成しました。 2枚の写真にそれぞれ2つの基準点を付けます 明るさを整える場所が1カ所なので、どうしても境目に筋が入ります。 StellaImage8でモザイク合成した月面写真 StellaImage8のモザイク合成機能は、星雲などには使えると思いますが、月面画像には使えません。 2) PhotoshopのPhotomerge機能 日頃使わないPhotoshop CCを無理やりインストール(面倒でした)して、使ってみました。2つの画像を選択しても、結局合成してくれませんでした。あとからスペックを良く読んでみると40%以上の重なりがないと合成できないと書いてありました。疲れました。 3) Microsoft Image Composite Editor(ICE) ネットでモザイク合成を調べた際、ICEではモザイク合成してくれなかったという書き込みがあったので実行していませんでした。上記の如く全ての方法がダメだったので実行してみました。Microsoft Image Composite Editor は、こちらからダウンロードできます。すると見事に簡単にモザイク合成が完成しました。継ぎ目も分からないくらい見事なモザイク画像が出来上がります。 Microsoft ICE でモザイク合成した月面写真 2.スタック処理 1) StellaImage8→使えない 月面撮影は明るさは十分に写真も動画も撮影できます。従ってスタックする必要があるか否か不明のまま、スタック(コンポジット)してみました。結論は、StellaImage8の月面コンポsジットは使えないことが分かりました。理由は、StellaImage8の位置決めのアーキテクチャーが粗いのではないかと思われます。つまり、AutoStakkertや、RegiStaxのように高尚な数学を使っていないのではないかと考えています。 2) AutoStakkert!3→少ない画像では効果なし 写真と動画を試みてみました。両者ともにスタック出来ましたが、数10枚の画像、数10フレームの動画では、スタック効果が感じられません。AutoStakkert!3 は、こちらからダウンロードできます。 AutoStackert!3処理前の月面上部の写真 45枚の月面上部の画像をAutoStakkert!3でスタックしてみました。 画像45枚のAutoStackert!3処理後の月面上部の写真 一方、362フレームの動画のAutoStakkert!3スタック処理の結果は、良好な結果が得られました。 動画362フレームのAutoStackert!3処理後の月面上部の写真 結局、画像の枚数、動画のフレームが300枚を越えるとスタック効果が明瞭になるのではないかと考えられます。 3) RegiStax6 (Stack)→少ない枚数では効果なし 写真と動画の二通りを試してみました。動画の方は、ピクセル数が大き過ぎたためか、アライメント・ポイント(AP)が多くなってメモリーエラーが出てスタック不能でした。45枚の画像によるスタックは、AutoStakkert!3と同様に、スタック効果は感じられませんでした。Digistax6 は、こちらからダウンロードできます。 画像45枚をRegistax6によりスタック処理後の月面上部の写真 4) RegiStax6 (stack+Wavelet)→効果絶大 RegiStax6の真骨頂は、Wavelet処理だと言われています。この処理は見事でビックリしました。クレーターの凹凸とシワが浮き出てきます。眼視以上の結果が得られました。スタック枚数が多いほどザラツキがなくなります。 この処理のパラメーターは理解できませんが、軽めのWavelet処理として次のパラメーターで実行しました。 軽めのWavelet処理のパラメーター条件1 軽めのパラメータ条件1でのWavelet処理後の月面上部の写真 比較の目的で、少し重めのWavelet処理を行ってみました。パラメーターは、下図の通りです。 重めのWavelet処理のパラメーター条件2 重めのパラメータ条件2でのWavelet処理後の月面上部の写真 同様に月面下部の45枚の画像をスタックした後にWavelet処理を行った写真が下の写真です。パラメーター条件2です。 Wavelet処理後の月面下部の写真■月面撮影の画像処理の結論 1.スタック RegiStax6 (stack+Wavelet)処理 2.モザイク合成 Microsoft ICEでモザイク合成 この2連の処理後の完成写真が下の写真です。 RegiStax6 (stack+wavelet)後、モザイク合成処理した2019/12/8の月面写真 以上、月面撮影と画像処理の過程と結果でした。月面撮影では、AZ-GTiマウントの有用性、画像処理では、ステラショット8の貧弱さと、海外フリーソフトの偉大さを感じました。【追記】 2019/12/12の月面写真