テーマ:Jazz(1977)
カテゴリ:ジャズ
“通好みの名盤”なのか?
デューク・エリントンに因んで“デューク”のあだ名を与えられたデューク・ピアソン(Duke Pearson, 本名コロンバス・カルヴィン・ピアソン・ジュニア)は、1932年アトランタ生まれのピアノ奏者で、1980年に47歳の若さで亡くなっている。 そんな彼が参加した盤(特にブルーノートの諸作)には有名で評価の高い盤が多い(例えばこちらの盤)が、彼自身のリーダー作として代表盤に挙げられるものとして、本盤『テンダー・フィーリンズ(Tender Feelin’s)』がある。 本盤は“通好みの名盤”なんて評されることがあるが、個人的にはどうもこうした表現に違和感がある。むしろ“万人に聴きやすい盤”と言った方がいいのではないかと思ってしまう。“通好み”なんて言われてしまうと、何か想像を絶するもの凄いものが弾け出るかのような意外性を期待してしまいそうなものだが、実のところ、本盤は、平常心のまま淡々と聴いて楽しめる作品、とでも言えば、そのニュアンスが多少は通じるであろうか。おそらくどこか地味な部分(よく聴けばそうとも言えないという意見も、もちろんもっともではあるのだけれど)から“通好み”という話になるのだろうけれど、むしろもっと気軽に日常の中で聴いて、その機微を楽しんでいい盤のように思うのである。 そんな感覚がつかみやすいナンバーをちょっと挙げてみると、まずは、1.「ブルーバード・オブ・ハピネス」。右手のシングル・トーンがしっかりしていて、その積み重ねが落ち着いた雰囲気ながらも独特のノリにつながっている。同じ観点から注目したい曲をもう一つ挙げるとすると、6.「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」がある。ジャズ界では言わずと知れたスタンダード曲だが、変に急がず、でも独自の緩急をつけながら“まったり”かつ“小気味よい”(この表現が通じるかどうか不安だけれど)演奏が展開されていく。あと、3.「アイ・ラヴ・ユー」も個人的には同じ志向性からは聴き逃がせない演奏だったりする。 上で述べたように、本盤はデューク・ピアソンの代表盤として挙げられることも多い。決して長くはない生涯を突っ走った人物だったけれど、確かに本盤は持ち味がよく表現されているという意味で代表盤なのだと思う。リーダー作としては早い段階(2作目)の盤だったが、十分にアーティストとして完成されている。彼のリーダー作を初めて聴くなら、断然、本盤からという意見に、筆者は一票を投じたい。 [収録曲] 1. Bluebird of Happiness 2. I'm a Fool to Want You 3. I Love You 4. When Sonny Gets Blue 5. The Golden Striker 6. On Green Dolphin Street 7. 3 A.M. [パーソネル、録音] Duke Pearson (p), Gene Taylor (b), Lex Humphies (ds) 1959年12月16日(6.及び7.)、12月19日(1.~5.)録音。 テンダー・フィーリンズ [ デューク・ピアソン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019年08月31日 09時35分40秒
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