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2013年05月03日
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カテゴリ:政治問題
 愛知県立大学准教授の與那覇潤(よなはじゅん)氏は、10日の朝日新聞のインタビューに応えて、矛盾だらけの日本人社会について、なぜこんなに矛盾があるのか、実に分かりやすく明快に説明してくれている;


 一票の格差問題は、法曹関係者の熱意の高さに反して、多くの人は「言われてみれば問題かも」という程度にみえます。官民の給与格差などに比べて怒りの度合いが低い。民主主義の根幹を揺るがす問題に、なぜ当の有権者が関心を寄せないのか。

 日本史の観点からは、日本という国の内実は今も、前近代的ムラ社会の連合体に過ぎないような印象を受けます。地元や勤務先など、自分が暮らす小集団の内側で生活世界が完結しているから、国全体を見た際の「不平等」に目がいかないのでは。

 議会政治と言っても「自分たちのムラ、選挙区から代表が出ていれば満足」というレベル。一票の格差をなくすには全国一区の比例代表制が最善ですが、それが支持されないのも、自分のムラの代表を自分たちだけで選べなくなるからでしょう。

 法への感覚も江戸時代と同水準です。法の支配とは本来、権力の暴走を法で縛るという意味ですが、自民党のベテラン議員は裁判所の選挙無効判決に「立法府への侵害だ」とかみついた。大岡越前のような行政官が裁判官を兼ねていた時代の、「司法は庶民を法律に従わせるのが仕事」という感覚なのでしょう。為政者こそ法に縛られることに納得できないのです。

 政治学者の神島二郎や京極純一も、民俗学的な伝統社会の言葉で日本の政治を理解しようとしました。どうも私たち日本人は、社会を自分たち自身でつくる人工的な制度ではなく、ある種の自然的秩序と感じているらしい。世相が乱れるのは、秩序のどこかに汚点があったり、社会で祭司の役割を担うべき政治家に落ち度があったりするからで、選挙とはその「ケガレ」を祓(はら)い清める祭祀(さいし)、儀式としか捉えられていないのではないか。

 スキャンダルにまみれた政治家が再選されると「みそぎは済んだ」と胸を張る。あれは政治家の単なる方便ではなく、私たち有権者の身体感覚でもある。世の中がうまくいかないと、選挙という祭祀で政治家にお灸(きゅう)を据えるが、それが済めば社会は清められたので、無関心に戻る。ずっとその繰り返しです。

 原発事故のような大災害さえ、選挙で民主党を敗北させるという「お祓い」が済んだ結果、過去のものとされつつあります。今回の違憲判決はそれに比べれば小さなケガレだから、区割りを変える程度の儀式で十分、ということでしょう。

 社会とは人為的な創作物だという前提を認めて初めて、よりよい創作に向けた改革への意思が生じる。本来、新憲法の制定はそのためにこそ議論されるべきものなのに、安倍首相の改憲論は「みそぎ民主主義」のままです。米国に占領されたという歴史上のケガレを、祓い清める儀式を求めているとしか思えない。近代社会への道は遠いなと思います。 (聞き手・太田啓之)


2013年4月10日 朝日新聞朝刊 12版 17ページ「耕論-選挙無効の向こうに」から引用

 一票の格差があるから前回の総選挙は無効だという判決が出たのに、政府自民党の対応は「ゼロ増5減」、これでも格差は解消しないのに、なぜそれでいいと考えるのか、さっぱり分からなかったが、この記事を読んで、目から鱗が落ちた。自民党の政治家とその支持者にとっては、判決が言っている内容などはどうでもよくて、一応やりましたという「儀式」をやれば、それで「可」となってしまうわけである。
 普通、憲法改正と聞けば、今の憲法よりも良い憲法になるだろうと思うわけだが、自民党の改憲草案はどう見ても現行憲法より後退していて、戦前の憲法に近い。これで何故「改正」になると思ってるのか、まったく理解できないから、多分馬鹿が作った草案だから仕方ないのだと思ったのであったが、実は、馬鹿は馬鹿なりに考えがあって、アメリカに占領されたという歴史上の「ケガレ」を祓い清めるのが目的だったとは、意外な事実であった。こういう「ムラ社会」意識の政治家に、わが国の政治を任せておいていいのかどうか、有権者は真剣に考えるべきである。






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最終更新日  2013年05月03日 20時21分19秒
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