南シナ海に勝手に自国領を作ろうとする中国に対し、関係国はどのように対処して平和を維持するべきか、10月4日の「しんぶん赤旗」は次のように述べています;
”安保法制で対米協力を強め日米同盟を強化すれば、抑止力は高まる”-。戦争法の根拠が総崩れになるもとでも、安倍政権は訴えました。
”攻撃してくれば耐え難い反撃を加えるぞ”と威嚇して、攻撃を防ぐ-こんな物騒な考え方が「抑止力」論です。単なる脅しではなく、実際に武力行使することと一体です。抑止力の中心は核兵器です。憲法の平和原則と相反する概念です。
安倍首相の”戦争法で平和になる”という変な理屈も、「抑止力」が前提にあります。この抑止力諭について柳沢協二・元内閣官房副長官補は「防衛官僚時代の反省も込めて」こう言います。
「本来、抑止力は軍事戦略的観点に基づいた十分な分析」の上で使われるべきだが、実際には「『抑止力』と言えばなんでも適用するといった、ご都合主義的な利用」がされ、「『抑止力だから抑止力』という思考停止に陥って」いる(『亡国の集団的自衛権』)
一方で自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた折木良一氏は”日米同盟強化だけでは中国への抑止力は働かない”と告白します(『国を守る責任』)。
△東アジアには多様な紛争要因がある
△中国との経済的相互依存関係が深い
△抑止力の要である米国の対処が甘い
-からだというのです。
現に米国は中国との関係強化を重視。日中の軍事衝突に米国が巻き込まれることを警戒しています。
中国と日本、東南アジア諸国との闇には領土をめぐる紛争があり、大きな問題になっています。これに対処する際、「一方が物理的・軍事的対応をした時に、もう一方も物理的・軍事的に対応し、軍事対軍事のエスカレーション(段階的拡大)になるのが一番危険です。外交的解決に徹する姿勢を堅持することが何よりも大切です」(日本共産党の志位和夫委員長。6月23日、外国特派員協会で)
具体策として日本共産党は「北東アジア平和協力構想」を提唱。
△友好協力条約締結
△領土問題の外交解決、紛争をエスカレートさせない行動規範の締結
-などを掲げています。
2015年10月4日 「しんぶん赤旗」日曜版 6ページ「『抑止力』で平和になる?」から引用
相手が軍備を増強したからと言ってこっちもそれに合わせて同じように軍拡をしていったのでは、やはり一触即発の危機感が高まるばかりで、偶発的な事故が基で大戦争にもなりかねません。わが国としては武装は最小限に抑えて、あくまでも紛争をエスカレートさせない行動規範の締結に努力するべきです。ジャングルの猛獣と違って、人間は話し合う能力があるという点をよく考慮するべきです。