ト ン ボ を 悲 し む 男
朝の道に細い雨がポツポツと降っていた
アスファルトの路面が濡れている
そんな路面にあった昆虫の悲劇””
一匹のトンボの死をこの目で見た
なんという悲しい出来事だろう
それは確かきのう見たトンボだった
きのう二匹のトンボが飛んでいた
恋人か夫婦のトンボだろう
そんなトンボに何があったのか
こんな街の中でトンボが見れるなんて
トンボが生まれ颯爽と飛んでいる光景””
それはこの上ない喜びであった
だがその翌日にトンボの死を
目撃するとは信じられなかった
ただ黙するだけの寂しさのなかで
何もしてやれないことを悲しんだ
トンボよ””トンボ””悲しみのトンボよ
金子みすずという詩人だったらきっと
一編の詩「トンボの死」を書いただろう
夏目漱石という作家だったらきっと
「人間の死だけが悲しいのではないぞなもし””」
そのようにいったことだろう
友人にコーヒーをすすめながら
今朝トンボが死んだことを話したが・・・
トンボの死には全く関心がなかった
ああ~悲しみがまたひとつ・・・・