30 歳 に な っ た 男
僕は30歳になった
人生の重みや苦さがやっとわかってきた年だ
だが僕の体には病気という恐ろしい青春の墓場があった
20歳前後の時のようなあの生気はつらつとした夢のある
情熱のもてし若さも25歳から29歳という熟した時代に
ある病気になった
青年の樹にはもう青い若葉は茂れども実はならない
そんな気がした
30歳にして立つこれが僕の信条だが青い若葉を
茂らし緑のなかで小さな潤いを与えてやること
ぐらいしかできぬであろうとその時僕は思った
この人生の途中30歳になる前の年月は全く
無意味な情けない人生であったといえる
無味乾燥した被爆地に舞い降りた一匹の
腐った日本人のような気がした
広々とした被爆地を歩けど歩けども
自分の欲する目的地につかない
水もなく陽はカンカンとして倒れ伏しながら
僕はひとり一生懸命に歩いた
彷徨いながら歩いた先にやっと現れた
オアシス それが今の自分だ
やっと30歳になってわかった
病気という泥沼を脱出してして見つけたオアシス
30歳から本当の人生がはじまることを・・・
それは病気という被爆地をぬけてオアシスを
見つけ出そうとする勇気ある精神を僕はいつも
心のなかで持ち続けたからであろう
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最終更新日
2023年04月13日 08時43分49秒
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