敬 老 の 日 の 男
喫茶店でコーヒーを飲んでいたらマスターが急に
来た・来た・来たと声をあげたので入り口付近に目をやった
入り口には何か月も会っていない杖をついた高齢者が立っていた
私のことを覚えていてくれているだろうか
軍隊でかなりの幹部だったと聞いているだけですが・・・
その男はこんにちはと軽く会釈をしながら席についた
私はお久しぶりですねえ~ お元気でしたかと聞いた
ああ~3月から9月まで入院して死にかけていました
そういって胃の付近を押さえてここをかなり切りましたわ
やっと生き返りいまはなんとか生きているけどいつまた
死にかけるやらどうなるかわかりません
私はおいくつなんですかと年齢をきいた
90歳ぐらいだとはマスターから聞いていたが・・・
男は今年93歳になったボケ老人ですといった
私はすごい老人がいるものだと心から感動した
私は28歳ですがかなりの年の差なんですが
その年齢でコーヒーを飲みに来るなんてなんと
お元気なことでしょうかといった
そしてコーヒー代は私が出しますから・・・
今日は敬老の日ですからね
小さな声でありがとうといった後に名刺をだし
私に渡しながら「アイアム・ジャパニーズ」といった
名刺には英語で「アイアムジャパニーズ」
と書かれ横には日の丸と旭日旗があった
男は静かにコーヒーを飲んでひと時を過ごした後
「今日はコーヒーをありがとう」いった
私はこちらこそといいながらこれからもお元気で
100歳をめざし長生きして下さいね
祈っていますからといった
男は再び「アイアムジャパニーズ」と言って
杖をついて店を出て帰って行ったのだった
敬老の日にふさわしい元気な老人であった
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最終更新日
2023年04月13日 09時41分39秒
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