散歩が楽しくなる樹の蘊蓄
街 路 樹
街 路 樹 の 条 件( 抜粋 )
街路樹は歩行者に日陰を提供したり、葉が太陽熱を吸収して気温を下げたり、
舞い上がるほこりを防ぐ、火災の蔓延を防ぐなど、多様な目的がある。
景観を美しくするためにも欠かせない。
現在では自動車での移動が多くなり、歩道を往来する人が少なくなった。
道も舗装されて、ほこりが舞い上がることはめっきり少なくなったが、
どういうわけか街路樹に限っては、十年一日のごとく同じ木が植えられている。
いささか不思議な感じがする。 というのも街路樹にはいくつの条件があるからだ。
街路樹は、
① 樹勢が強く ② 大気汚染に強く ③ 強い剪定にも耐え ④ 病虫害に強く
⑤ 葉が美しく ⑥ その地の気候風土にあっていなくてはならない。
となると、樹種がかなり限定されてくる。
そのために経験上、昔ながらの街路樹が選ばれることが多くなるわけだ。
今では、防塵、日陰の提供といった目的よりも、街をいかに美しく飾り、
景観をよくし、その地で暮らす人々が快適な感じを受けるかに、
街路樹選びの眼目がおかれるようになり、少しずつではあるが
樹種も変わりつつあるようだ。
最近、木が道を覆って狭くなる、手入れに金がかかる。落ち葉が
街を汚すなどの理由から邪魔もの扱いされ、街路樹が丸坊主に
されているケースがよく見られる。
街にグリーンがあることで、人々の心をどんなにいやすかを
考えると、街路樹は絶対に欠かせないし、逆に街路樹を
植樹できるように、道路の規格を見直すべきではないかと思う。
こうした施策も文化国家の条件といえるのではないだろうか・
著者: 船越 亮二(ふなこし・りょうじ)
1934年、埼玉県生まれ
東京農業大学造園学科卒業。
2003年2月20日 第1刷発行
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最終更新日
2020年02月03日 17時15分56秒
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