ス ト レ ス が 誘 発 す る
「 心 臓 の 病 気 」
ストレスが心臓病を誘発することもあります。
代表的なものが、「 心房細動 」と「 たこつぼ心筋症 」です。
「 心房細動 」とは不整脈のひとつで、心房がけいれんしたように
細かく不規則に動く状態です。
すると、血液をスムーズに全身に送り出すことができず、
心臓に負担をかけます。
また、心臓の左上部にある左心房内に血栓( 血のかたまり )が
できやすく、それが全身に運ばれてどこかで詰まってしまう
怖れがあります。
脳で詰まると脳梗塞を引き起こしてしまいます。
「 心房細動 」は加齢が大きな原因ですが、「 高血圧 」「 糖尿病 」
「 甲状腺機能亢進症 」などの病気がある場合は起こりやすくなります。
一方、若い人の心房細動には、ストレスが深く関わっていると
考えられています。
「 たこつぼ心筋症 」とは突然、胸痛や息切れなどの症状が
起こる心臓の病気で、高齢の女性に多いのが特徴です。
心臓は収縮と拡張を繰り返すことで、全身に血液を送り出しますが、
この「 収縮期 」の心臓の働きが悪くなり、その形状が「 たこつぼ 」に
似ていることから、「 たこつぼ心筋症 」の名前がつけられました。
「 たこつぼ心筋症 」になると、心不全や脳梗塞の引き金になる
リスクもあります。
「 たこつぼ心筋症 」の原因ははっきりとわかってはいませんが、
ストレスや自律神経の乱れと関係していることが指摘されています。
治療法としては、「 心房細動 」の場合は投薬による心拍数コントロールや
カテーテルアプリケーション治療による根治療法( 心不全改善 )が
あります。
「 たこつぼ心筋症 」には特定の治療法はありませんが、自然に
回復することもあります。
ただ、これまで予後は良好とされていましたが、近年、入院中での
死亡率が約5~6%と報告され、決して良好でないことがわかっています。
再発を避けるためには、強いストレス、不安に陥ることを
避けることが大事になります。
参考文献: 100年心臓のつくり方
著者: 池 谷 敏 郎( 医師・医学博士 )