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カテゴリ:ダンス
普段「チェンバロ」という楽器を通して音楽をやっているけれど、何も介さず、人間の生身の体と声で表現されるダンスと歌ほど魂を直接鷲掴みにして揺さぶるものはない、と改めて感じる。
ミュージカル映画としての印象が強いが、もともとはブロードウエイの舞台で生まれた作品。 レナード・バーンスタインの素晴らしい音楽とジェローム・ロビンスの卓越した振り付けによる功績が大きいのはもちろんだが、日本の舞台で、あの名作映画以上の喜びを味わえるのは劇団四季のパフォーマー達の血のにじむような努力の賜物に違いない。 冒頭のジェット団とシャーク団の登場の場面では、良い意味で日本人らしく、よく訓練されて一糸乱れぬ群舞であったダンスが、場面ごとに熱を帯びて「ああ、この人たちは戦っている!」と思わされた。 そしてトニーとマリアの美しい歌声。 事実パフォーマーそれぞれが演じる役柄は、自分自身との戦いはもちろん仲間はライバルとなって切磋琢磨して勝ち取ったものだ。また、たとえ役を掴んでも、安泰で安心などできるはずがなく、常に上を目指して限界まで歌い踊っているのだろう。 ロミオとジュリエットを素材に、少年の非行から人種差別や貧富の差など社会的な問題をあぶり出したストーリーと、このパフォーマー達の発散するエネルギーが相まって、本当に素晴らしい舞台であった。 ウエストサイド物語は、観る者も演じる者も熱くさせ、決して色あせることのない、やっぱり永遠の名作なのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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