カノンのお稽古帳♪

オルガニストでチェンバロを弾く、またはチェンバリストでオルガンも弾くという奏者はけっこういますが、私はチェンバロ一筋（笑）
昔むか～しミッションスクールに勤務していたころは、週末のお御堂でのミサや学校行事で聖歌隊の指揮をしたり伴奏のオルガンも弾いたりしたものですが、本格的に勉強しようと思ったことはありませんでした。と言うのも、パイプオルガンのコンサートは何度か聴きに行っていたのですが、その頃の私にはあまり強い印象がなく「やっぱりチェンバロの方が好きだな」という感じでした。
そんな私が「ギャラが発生しない」という最大の理由によりbalaine所属のオケの練習のお手伝い（代弾き）で急遽オルガンパートを弾くことになって、さあ大変！！


渡されたパート譜を見ると白い玉が大盛り串ダンゴでいっぱい並んでいます。
チェンバロは音が伸びないので、白い玉オンパレードはアルペジオにしたり装飾を入れてみたり、さらには即興でオブリガートにしちゃったりするわけですが、オルガンはこのまま、ひたすら伸ばす。そして伸びる。う～ん新鮮！！

・・・と練習を始めた１楽章２部、その和音と進行が何と美しいこと！

バッハのオルガン曲も名曲はたくさんありますが、基本は教会で「神に捧げる」もの。地上の人間の罪や苦悩を昇華するため、天に近付こうとするため、階段を登ろうとするその半音階は足に鎖がついたかのように重く、手を伸ばして許しを求めるかのようにも聴こえることがあります。
しかし、このサンサーンスのオルガンは、まるで天から光がさし、神があらわれて全ての罪を許し温かく包んでくれるようです。半音階も苦悩というより未来や永遠に向かう道のりのように聴こえます。
バッハは地から天へ、サンサーンスは天から地へ語りかける、これが私のイメージです。
（もちろん全部の曲がそういうわけではないのですが、あくまでも今回の個人的見解）

でもこれって、同じ楽譜をチェンバロやピアノで弾いても絶対にそうは聴こえない、やはりオルガンのあの音だからこそなせる技なのです。

かつて貴族は自分の裕福さや教養の証として美しいチェンバロを求め、教会は神の威光と教会の権威、さらには国や王の力をあらわすため巨大なオルガンを求めたとも言われます。（もちろん純粋に「音楽」のためが一番ではあったと思うのですが。）何だか「ふ～ん」と思っていましたが、こんな私でさえ遅ればせながらもオルガンの音楽に神を感じて涙したのですから、当時の敬虔な人々はいかばかりであったか・・・。パイプオルガンの響きは奈良の巨大な大仏と同様に、裕福で知識のある人ばかりでなく貧しかったり言葉や文字を理解できない人々の心にも届き救い癒したのだと想像します。

２楽章２部は打って変わって溌剌とした音楽。人間の力強さや喜びに満ちたものですが、これも神の手に抱かれて愛の眼差しあってこそ。ああ、生きるってなんて素晴らしいんだ！！神ってなんて大きいんだ！！！と、久しぶりに鍵盤をいっぱい掴んだ手のひらを太陽にかざしたくなってしまいました。


・・・と言うわけで、今日は練習に初参加（しかも指揮者練習。ひ～っ！）してまいりました。いつも一人で自由気ままに弾いているので、オケで指揮を見て楽譜どおり演奏するなんて十ウン年ぶり？？？激しく緊張いたしましたがマエストロの指揮は明確で指導はとっても楽しく、何とかかんとか弾くことができたのかな？ただラストがどうもカウントできず何やら落としまくってしまいガックリ、ドッと疲れましたが、神はきっと許してくれることでしょう。（・・・いや、ダメか）

何だかいろいろいっぱい書きましたが私はあくまでも練習の代弾き、本番はオルガニストの黒瀬恵さんの演奏です。とっても楽しみ♪♪それからチェロ岩崎洸さんのドボコンもきっとすごいですよ～！