マーガレット・サッチャー
これは夫婦愛を描いた作品だ。仕事で家庭を犠牲にしたとか果たしてサッチャーは幸せだったのかとか今、認知症であることを重ねてまるで不幸な女性だったかのようなコメントが多くあるが彼女が幸せでなくて、誰が幸せなのか。ラストが好きだ。この映画の終わり方が好きだ。夫が亡くなったことを受け容れられず何年も何年も幻覚を見続けていた彼女が自分で自分が分からないことをとうとう認め夫の靴を全部ゴミ袋に入れそのほかの荷物も全部捨てる準備をしてそれなのにまた幻覚を見て、亡き夫に身支度をして靴を履いていないから行かないでとまだ行かないでと泣いてそれが結局彼女の本心なんだと思うけど夫の死を忘れられない気持ちにとうとう別れを告げて朝を迎える。またひとつ、女として前に進んだ、そんなラストが大好きだ。これはフィクションらしいけど本当にサッチャーそのもので、いくつか事実もあるような気がしてまるで自分を励ましてくれるような言葉もあったし彼女が心底羨ましいと思うし習慣が人を作るという言葉以前もどこかで聞いたけど、とてもいい言葉でこれは、もう一度観たい映画になった。レイトショー1,200円の元は、十分、とった。