WikiLeaksのアッサンジは、ブッシュ・ジュニアの側近だったローブにはめられた可能性が大きい
ジュリアン・アッサンジに対するスウェーデンの警察/検察による攻勢の背景にジョージ・W・ブッシュ政権で次席補佐官を務めたカール・ローブの姿が浮かび上がってきた。 ローブはホワイトハウスを離れた2007年からスウェーデンのフレデリック・レインフェルト首相のコンサルタントを務めているのだが、アッサンジを攻撃している「手口」がローブを指し示しているというのである。アッサンジがスウェーデンを訪れたとき、すでにローブの網は張られていた。「飛んで火に入る・・・」ということだ。 ブッシュ・ジュニア政権でローブは検察を「政争の道具」にしようとした。そのひとつの結果が10名近い連邦検察官の解雇である。当初の目論見は、93名の検察官を解雇してブッシュ・ジュニア大統領に忠誠を誓う人間に入れ替えるつもりだったという。 ブッシュ大統領を担いでいたのはキリスト教系カルト集団とネオコン(新保守)で、ともに親イスラエル派である。つまり、ローブの計画は、アメリカの検察システムを親イスラエル派で乗っ取るというものだと言えるだろう。 ローブの犠牲になった政治家として知られているのがドン・シーグルマン。1999年から2003年までアラバマ州知事を務めた「民主党」の政治家である。2002年のアラバマ州知事選では共和党のボブ・ライリーに負けているが、得票率はライリーが49.2%、シーグルマンが48.9%という僅差だった。 そして2004年にシーグルマンは起訴されるのだが、この時は検察側がすぐに取り下げてしまう。それだけ杜撰な起訴だったということだが、2005年にも収賄などの容疑で起訴され、この時はマーク・フラー判事が2006年に懲役7年、罰金5万ドルの判決を言い渡している。 これに対し、2007年には下院司法委員会が興味深い宣誓供述の内容を明らかにした。長年の共和党活動家のダナ・シンプソンの証言だ。ローブのごく近しい人から彼女が聞いた話の内容は、ローブがアラバマ州の検察官2人の協力でシーグルマンを訴えるというものだった。 その親しい人とは、アラバマ州知事ボブ・ライリーの息子、ロブ・ライリー・ジュニア。彼の話によると、2004年後半に父親のボブ・ライリーは旧友のローブと会っている。最初の起訴に失敗したことを受けての相談だったようで、2005年の起訴につながる。ローブの手は検察官だけでなく裁判官にも及んでいたという。シーグルマンに不満を持つ人物を担当判事に据えたとシンプソンは証言している。なお、こうした証言をした直後にシンプソンの家は放火され、「探偵」に監視されるようになった。 検察を使って「政敵」を排除する・・・日本でも実行されているようだ。