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カテゴリ:政治経済
野党は理想語る挑戦を 「せたがやYES!」を取材、渋谷陽一さん『 「せたがやYES!」という肯定的なメッセージを結集軸に、参加型の街づくりをめざす東京都世田谷区。20日付朝刊では、保坂展人区長の取り組みから政権交代の「受け皿」に必要なものを探った。保坂氏への取材を昨年、単行本にまとめた総合誌「SIGHT」編集長で、音楽評論家の渋谷陽一さんに野党が目指すべき政治について聞いた。 ◇ 有権者が今、求めているのは「安倍政治が嫌だ」という話ではないんです。新しい政治的なビジョンに投票したいマグマが渦巻いているのに、その受け皿がない状況です。 音楽の世界にたとえれば、ずっと演歌を歌い続けている自民党に対して、民進党は「もう演歌は古い」と叫びながら古いフォークを歌っている。ビートルズやサザンオールスターズが登場すれば一気に席巻できるのに、それが出てこないので、誰もが欲求不満な状態なんです。 欧米にはオバマ前米大統領やメルケル独首相のような理想主義を持った政治家がいます。正義感と理想主義が政治の基本エネルギーとなるべきものではないでしょうか。「LOVE(愛)、PEACE(平和)&FREE(自由)」。ロック音楽が体現するような価値観は有効だと思います。 「安倍1強」と言われてきましたが、国政選挙の投票率は50%程度で自民党への投票はその半分以下。つまり全有権者の25%も支持していない。安倍政権が力を入れる原発再稼働や安全保障関連法、共謀罪法にも「NO」が多い。 それにもかかわらず、野党のメンバーが「YES」の理想を語る勇気を持っていない。野党が有権者の共感を得られない大きな原因はそこにあります。 国政にいた時の保坂氏は「安倍NO」と掲げるような古い政治的な言語に束縛されて窮屈そうでした。しかし、世田谷区長になって「せたがやYES!」と肯定的なメッセージを打ち出し、可能性が花開いた。 世田谷区政は、音楽で言えば「インディーズ・シーン」ですが、「メジャー」にあたる国政でも、理想主義の志を持った政治家たちが挑戦を始めれば、一気に変わっていくと思います。 僕は昨秋発行の「SIGHT」の表紙に「70年間戦争しなかった日本にYES」と書きました。日本は勤労意欲やモラルが高く、何よりも平和を愛している理想主義的な国民です。ちゃんとしたメッセージを出せば届く。それは世田谷の例を見れば明白です。 (聞き手・南彰) * しぶや・よういち 1951年生まれ。72年、音楽批評誌「ロッキング・オン」を創刊。99年、総合誌「SIGHT」を創刊。著書に「ロックは語れない」など。』 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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