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テーマ:試写会で観た映画の感想(678)
カテゴリ:邦画(や行・ら行・わ行)
監督 : 深川栄洋 出演 : 中村雅俊 、 原田美枝子 、 井上順 、 戸田恵子 、 イッセー尾形 、 綾戸智恵 、 星野真里 、 内田朝陽 、 石田卓也 、 金澤美穂 、 佐藤慶 、 原沙知絵 試写会場 : ヤクルトホール 公式サイトはこちら。 <Story> 大手建設会社の専務、橘孝平(中村雅俊)は、定年を期に離婚が決まっていた。 会社を出て向かったのは、若い愛人(原沙知絵)の住むマンション。 これまでは家庭と会社のために働いてきたが、定年後は愛人と二人でベンチャー企業を共同経営し、若いスタッフと共に本当にやりたい仕事をやるのだ。 しかし、大手企業重役だった橘にとって現実は思ったほど甘くはなかった。 一方、離婚して自由になった妻・ちひろ(原田美枝子)は、友達も増え、恋のチャンスが巡って来ていた。 [ 2009年5月16日公開 ] 60歳のラブレター - goo 映画 <感想> まずこれ、タイトルからイメージするものがどうしても年配者になってしまう。 実際その通りではあるのですけど、ここで年齢を出してしまうと、初めからスルーしますっていう人が多くなるように思う。なので「60歳のラブレター」はあくまでもサブタイトルにした方がよかったのではないだろうか。 全国から寄せられた、「夫から妻へ、妻から夫へのラブレター」という企画を映画にした、ということもあってか、どうしても年配者が多いように見えてしまう。 以下ややネタばれ。 読む方は自己責任で。 まず正彦(イッセー尾形)&光江(綾戸智恵)夫妻。 この夫婦、ここに登場する3組の中ではいちばんリアルな夫婦に見える。 結婚する年月とともに醸し出される馴れ合いだとか照れくささ。 それは出会ったころの「恋心」ではなくて、完全に「家族愛」クラスまで昇華してしまっている。 結婚年数が長くなるにつれて夫婦は似てくると言うけど、この2人はそんな感じがよく出ている。 綾戸さんのライブに行ったことがあるのだけど、彼女は基本的にトークが面白いんで、演技にもそれが生かされていたのはよかった。 イッセー尾形もかなり歌いこみましたがその甲斐はあったと思う。 静夫(井上順)&麗子(戸田恵子)のカップル。 これからこういう感じの人達が増えていくように思えてなりません。 ずーっとシングル、あるいは死別、離別。 だけどこんなに綺麗にうまくいくかなあ・・・?? この映画の中でいちばんよかったと思ったのが戸田恵子さんのセリフ。 「私たちくらいの世代が恋するなんて、奇跡みたいなもんだから・・・。」 これは切実ですね。 結婚して所帯を持つメリットが感じられない今の日本、これから結婚しない人たちがどんどん増えますから、50代60代で初婚もありえる。このセリフ耳に痛い人も多いかも。 最後に孝平(中村雅俊)&ちひろ(原田美枝子)元夫妻。 「元」って書いているのは、孝平が定年と同時にちひろと離婚したから。 年を取ればいろいろありますし。 そして結婚生活が長くなればそれなりにいろんなものも蓄積されていくけどね。 気ばかりは若いころのつもりでも、傍から見るとかなりズレがあることに気がつかないのはご本人だけ・・・ みたいな孝平。この孝平はかなり見ていて痛い。愛人とやり直すつもりでもいざ一緒になってみると感じる自分の年齢。 それじゃ若い人は付いて来ないって。 企業の実態も分かり尽くしていると思っているのは自分だけで、周りが見えてない。駆け引きも真正面からじゃうまくいかないのに。 企業の汚れ役をやってきたらしいのにわかってない設定もなんだかな・・・。 ここまでわかっていないから当然新しい仕事もうまくいかない。 なのに仕事一筋でやってきちゃったから、人生でも直球しか投げられない。 男性は脆いんですね。 弱みを見せたくなくて見栄張って、崩れていく。 それに引き替え、ちひろののんびりとした感じ。 「こんなことならもっと早く離婚すればよかった」、未練がましい男性に対して、割と女性なんてそんなもんです。 いただくものを頂けたらあとは別に・・・ あっけらかんとしてる。 自由気ままに状況に対応していけるのは女性の強みだから。 この夫妻の娘役の星野真里はよかった。不仲な両親を見て育った子の遠慮ないセリフがリアルっぽくていい。母のちひろよりもどうかすると大人の感覚。 ちひろの恋愛だって「いいんじゃないのー??」って軽く後押しする。これは娘でないとできないことです。 一緒にいて不幸なら別れて幸せになりなよ、お母さん、みたいな度胸のよさは好き。
原田さんは綺麗。戸田さんとのこのシーンは一番好きです。 もし仮に、ちひろが原田さんほどきれいじゃない、ごく普通の容姿の人だったらこういう話になってた?? なーんて意地悪に考えたりもするけど(笑)、もう1度人生やり直せるくらいの自分磨きは必要だということです。 この映画の一番のクライマックスが一番の矛盾になってしまっているところが何ともね・・・。 30年ガマンしたことってそんなに簡単に覆るものなのかい?? と突っ込みの嵐ですw 結局孝平のこと好きなだけ? それならもう何も言いません。 でも孝平が同じこと繰り返さないっていう保証はどこにもない(笑) あれで本当に心が入れ替わるのかどうかは正直疑問。 これ、続編で「65歳のラブレター その後」とか作って追いかけたらどうなるかな。 この映画を見て、勘違いするお父さんたちが増えないことを祈るばかりです。 そうそう簡単に夫婦なんて気持ちが動くもんじゃないんですから。 全体としてはチラシのイメージ通りの映画なので、ふんわりとほんわかとしているのだが、孝平&ちひろに関しては実際の夫婦としてのリアル感が少なかった。 同じ夫婦の葛藤を描いたものでも『ぐるりのこと。』とは全く違って、夫婦がとことんお互いのことについて取り組んだシーンが少なく(だから行き着くところまでいっちゃうっていう設定でもあるんだけど)、話として作り上げた感じの夫婦という印象は最後まで変わりませんでした。 正彦&光江夫妻には共感した人多いかもしれませんが、映画の核となる孝平&ちひろがもうちょっとリアル感があったらよかったのに。 残念でした。
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あら、辛口なコメントですね。 やはり、結婚している人と、シングルだと、「そんなに甘くないぞ!」な視点で観るかもです。
自分は、「映画として」まぁ、許容範囲内の出来だったかなと、一定の評価をしています。 脚本含め。 中だるみしませんでしたし。 確かに、主軸の夫婦のエピソードは、うーん、でしたけど、、、まぁ、フィクションとしてみれば、良いんじゃない? な、甘ったれた、独身、負け組みの楽観的な感想です。 (2009.05.13 14:24:11)
こんにちは~
これね、どれか1組を重点的に扱えばよかったのかも。 3組だとどうしても難しいですよ。 そして、やっぱり孝平&ちひろは、私には「あり得ん」のよ・・・ 笑 まあ、「お話」ですから、このくらいでお茶を濁すのが好きな日本人には受けると思いますが。 でもねえ、夫婦ものの映画としては、『ぐるりのこと。』には遠く及びませんでした。 確かに独身か所帯持ちかによっては、この映画の視点は大きく分かれそうです。 勝ち負けとかじゃなくてさ(笑 (2009.05.13 14:30:15)
観たいと思ってたんですけど・・・やっぱりそうですよね、結局ありえない設定になってたりするんですよね~。
テレビで放送されるときに気が向いたら観ることにしようかしら♪ (2009.05.13 15:30:08)
こんばんは~♪
「60歳のラブレター」このタイトルやはり良くないですよね? 私も副題にしておいたほうが良かったのではと思います。 若い人はスルーする人が多いでしょうし。 ターゲットは初めから年配にしてるんでしょうか? 若くない私ですが、スルーしました・・・。(笑) (2009.05.14 00:36:57)
★2個ですか。
今後のために観ようかなぁって思ってたけど、どうしようかな(笑) このタイトル、私もどうなの?って思ってました。 若い方が敬遠しそうですもんね。 時間があったら、、、位に押えておきます(^^*) (2009.05.14 12:58:51)
こんにちは~
>結局ありえない設定 でした・・・。 中村雅俊&原田美枝子夫妻がダメダメです。 >テレビで放送されるときに気が向いたら観ることにしようかしら♪ ----- それで十分♪ (2009.05.14 13:20:39)
こんにちは~
>「60歳のラブレター」このタイトルやはり良くないですよね? ですよねえ。 若い人に観てもらいたいならちょっと変えないと。 >若くない私ですが、スルーしました・・・。(笑) ----- 私もお金出して観る気は全然ありませんでしたーw (2009.05.14 13:22:04)
こんにちは~
>★2個ですか。 >今後のために観ようかなぁって思ってたけど、どうしようかな(笑) 他の2組はいいんですが、核となる、中村&原田夫妻が「ありえないファンタジー系」で終わってました。あんまり参考にはならないかも。 >このタイトル、私もどうなの?って思ってました。 ----- サブにしておけばよいのにね。 (2009.05.14 13:29:37)
コメントありがとうございました!
孝平夫婦の最後のリアリティのなさが驚きでしたよね~男性としてはこれが理想でしょうけど、女性は一度割り切ったら再び戻るのってなかなか難しいと思いますよね~特にちひろは何のメリットもないから。 せめて、一人になって寂しくなったとか、仕事で失敗続きで今まで専業主婦でのんびりやってこれたのは守ってもらっていたから・・という展開じゃないとリアリティ感じられないですよねー。 (2009.05.22 17:51:26)
こんにちは~
>孝平夫婦の最後のリアリティのなさが驚きでしたよね~ 無理にハッピーエンドにしようとするとこういう風になっちゃうんでしょうかね。。。 男目線の映画なんだなって思います。確かラブレターの募集母体も銀行、これまた完全なる男社会ですからね。わかってない(笑 >せめて、一人になって寂しくなったとか、仕事で失敗続きで今まで専業主婦でのんびりやってこれたのは守ってもらっていたから・・という展開じゃないとリアリティ感じられないですよねー。 ----- hitoさんはやっぱりお優しい♪ 自分なら、「私は気楽に生きるわ~」と、家政婦業を極めるちひろ、みたいにして、孝平とは茶飲み友達になるようにするとかw 1組位ブラックにしてもよかったのになあ。このご時世だし(笑 (2009.05.22 18:00:33)
私も主軸のストーリーがダメでした。
へたくそなラベンダーの絵にもまったく感動できず・・・・汗 周囲の評価が高いので自分だけ低いのかとちょっと凹んでいたんですよ。 (2009.05.22 20:34:23)
こんばんは~
>私も主軸のストーリーがダメでした。 あれはいくらなんでもひどすぎます。中年熟年女性を馬鹿にしてますわ。 >へたくそなラベンダーの絵にもまったく感動できず・・・・汗 もう完全に私の好きじゃない、「ありえないファンタジー系」なんですよねえ・・・。 あれで本気で心をつかんじゃったんですから。 >周囲の評価が高いので自分だけ低いのかとちょっと凹んでいたんですよ。 ----- 私も本当に不思議です。 イッセー・綾戸ペア、戸田さんの好演が、メイン夫婦のエピソードで台無しなのに。 (2009.05.22 21:43:23)
トラコメありがとう!
私も、全く同感ですよ。 レビューでも魚屋夫婦のみ絶賛ですが、あとはやはり綺麗ごとという感じがして、リアリティがあるのかないのか、ちょっと微妙でした。 テーマがラブレターなので、綺麗な部分だけをクローズアップしたと言う点では仕方ないのかな。 (2009.05.26 08:30:18)
こんにちは~
>トラコメありがとう! >私も、全く同感ですよ。 そう言っていただけると救われます☆ >レビューでも魚屋夫婦のみ絶賛ですが、あとはやはり綺麗ごとという感じがして、リアリティがあるのかないのか、ちょっと微妙でした。 >テーマがラブレターなので、綺麗な部分だけをクローズアップしたと言う点では仕方ないのかな。 ----- もともと、協賛企業がありますから、そちらのご意向?も多分に影響しているように思えてなりませんが。。。 あんまりたくさん熟年離婚されちゃうと困る業界のようですしね(笑 適度に幸せ感で行きましょう。。。とか何とか、あったら怖い!? 笑 (2009.05.26 16:12:56)
はじめまして。 コメントありがとうございます。
代筆をお願いされるほど、お上手なんですね! 日記拝読しました。 成功率50%とは何とも・・・w 確かに今はメールであっという間に返信が来ますから、その方が待たされなくていいのかもしれませんよね。 (2009.07.03 18:57:12) |