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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(か行)
原題: Creation 監督: ジョン・アミエル 出演: ポール・ベタニー、ジェニファー・コネリー、ジェレミー・ノーザム 第22回東京国際映画祭 natural TIFF部門出品作品 第22回東京国際映画祭『クリエイション ダーウィンの幻想』ページはこちら。 『クリエイション ダーウィンの幻想』公式サイト(英語)はこちら。 <概略> 19世紀、当時の宗教、哲学に反する画期的な生物学理論を確立した「種の起源」の作者チャールズ・ダーウィンとその家族を描くドラマ。 ダーウィンとその献身的で篤い信仰心を持つ妻エマを、実際におしどり夫婦として知られるポール・ベタニー、ジェニファー・コネリーが演じる。 製作は『ラストエンペラー』のジェレミー・トーマス。 <感想> TIFF2日目となった10月20日。 行けそうな時間と相談しながら決めた1本でした。 何気にジェニファー・コネリーが出ているのに大々的には宣伝が出ていなくて、もしかして大穴かも!? という思いもあり、またテーマ的にも深そうなのでチョイス。 『シーリーン』がこの日の2本目で、この前に『ダーウィン・・』を観たのですが、こちらの方が感想長くなりそうなので後に回しました。 ・・・というか、先週、このTIFFの週が半端じゃない忙しさで、ほとんど毎日あれやこれやと気が張る出来事ばかりで、 緊張の1週間。 帰宅も午前様っていうことが多かったしー。 今年のTIFFも、仕事の後に2本鑑賞とか、ホントーにマジでありえないスケジュールばかりでして。 今、公私ともにとても多忙で疲れているので日記もなかなか進まないですし、たくさんTBコメント頂戴しているのに全然お返しできずごめんなさい。 ゆるりと進んで行きますので。。。 物語はすでにダーウィンが学者として成功しているところから始まり、彼が「種の起源」を出版するまでの軌跡を描いている。 「種の起源」っていう本の名前こそ知っているけど、それが生み出された背景などは、恐らく知らない人がほとんどなのでは? キリスト教的概念が人々の思考を支配していた当時、ダーウィンの思想は、その一般的概念を大きく脅かしかねないものであった。 だが科学的にも検証を重ねてきた結果、最早真実を人々に公開しない訳にはいかないと思うところまで、彼ら新進の学者たちは画策していたわけです。 この新しい概念は当然古い考えと対立するわけで、敬虔なキリスト教信者である妻、そして村の人々、教会と、彼は多くのものから疎まれることになる。 そして同じ家族である妻との、心が通わなくなる状態が起こってくる。 これが彼にとっては一番の痛手だったのではないだろうか。
妻と心が通わなくなるまでには実はもう1つ理由があって、これが作品の大きな軸にもなっている。 様々なことを生み出してしていったダーウィンだが、アニーもまた、彼を十分にインスパイアさせてくれた「創造者」、クリエイターであった。 だが運命の申し出はかくも惨い。 しかしながらその流れにいつまでも浸っていては、前に進めない。 そのジレンマから立ち上がりたいのなら、徹底的に、見つめたくないものと向かい合わないといけない。 その苦しさ、思いが伝わらないもどかしさ。 それをひっくり返すだけの要素があるのが、夫婦なのかもしれないと感じます。 一緒に人生を歩もうと誓っただけの力。 その決断はさわやかでした。 語り口はビターで、文芸ものにテイストが近く、かつ、家族であったり夫婦の愛情であったりというミニマムな範囲のことも密度濃く描いている。 そしてバックに当時の社会背景を織り交ぜており、とても無駄がなくバランスが取れた映画。 ダーウィン夫妻役のポール・ベタニー、ジェニファー・コネリーの演技もいい。 これはぜひ日本公開されてほしいところ。 これだけの映画を、映画祭でしか観れないというのは何とも惜しい話です。 実現するといいですね。 上映終了後、ティーチインがありました。 登壇者は、プロデューサーのジェレミー・トーマス氏。 日本ではおなじみの映画ばかり手がけて来られた、映画界の第一人者です。 ジェレミー・トーマス氏(以下J): この映画、日本ではまだ配給がついてないが、ここに来ている皆さんの口コミでどうにかなるかもしれませんので(笑)、ぜひよろしくお願いします。 日本には55回くらい(!)来ています。 今、映画に対しての世界の食欲みたいなものが減っているとつくづく感じていて、そんな中、このような映画祭はお客さんと話せる貴重な場所であると思っています。 この、ダーウィン夫妻には、実際に夫婦であるポール・ベタニー、ジェニファー・コネリーを起用しました。 これはあまり例がないことで、ある意味とっても危険なんです(笑) カメラの前に夫妻で経って演技するっていうことだから。 ポール・ベタニーに関しては、ダーウィンは最初から彼で行こうと決めてました。 顔つきがまずとても似ている。 それがきまった後で、実はジェニファーが妻の役をやりたがっていると聞いたんで、彼女にしたんだ。 Q:この作品は、キリスト教色の強い海外では、どのような反応があったのか。 J:基本的には反応は良かった。アメリカではこの11月に公開です。 メル・ギブソンの『パッション』にも方向は似ていると思うが、本作品は宗教と科学のバランスが取れた作品のような気がする。 ダーウィンは誰も思い浮かばなかったことをしている。 そして、家族に起こったある出来事が「種の起源」の出版を遅らせたわけで、これが出た時は物議を醸したと言われているようだ。 この作品の原書は"Annie's Box"だったんだけど、僕はそれは映画ではダメだと判断した。 ダーウィンの頭の中ではあくまでも「クリエイション」そのものだったから。 物議のフレーバーを醸し出す感じにしたかった。 バチカンもダーウィンの思想を受け継いでいるので、問題はないと思う。 Q:役者さんたちには注文をつけているのか。 J:自分は脚本・フォトのクオリティ・演技、全てに渡って細かく注文をつけている。 キャスティング、音楽、執筆、全て関わっている。 そういう意味ではインディペンデントに近い感じ。 ジェニーのショットはタイで撮影している。 セットをタイまで持って行って撮影しました。 ダーウィンの3代後の子孫が、この映画の元となったものをお書きなんだそうです。 それだけの想いを、この映画からは感じることができた。 公開してほしいなあ。。。 これは今年鑑賞したTIFF作品の中では、間違いなく一押しですね。
今日の評価 : ★★★★☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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