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テーマ:試写会で観た映画の感想(678)
カテゴリ:邦画(か行・さ行)
監督・脚本 : 大森立嗣 出演 : 松田翔太 、 高良健吾 、 安藤サクラ 、 宮崎将 、 柄本佑 、 洞口依子 、 多部未華子 、 美保純 、 山本政志 、 新井浩文 、 小林薫 、 柄本明 試写会場 : 九段会館 公式サイトはこちら。 <Story> 孤児院で兄弟のように育ったケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)。 中卒で得た解体現場の仕事は、電動ブレーカーでひたすら壁を壊す“はつり”の仕事だった。 安い賃金に過酷な労働、そして陰惨ないじめ。 行き場のない苛立ちを積もらせる2人はある日、一つの決断をする。 それは“見えない壁”をぶっ壊し、兄貴(宮崎将)のいる北へ向かうこと。 かすかな希望を携えて、二人の鮮烈な旅がはじまる。 [ 2010年6月12日公開 ] ケンタとジュンとカヨちゃんの国 - goo 映画 <感想> Twitterシネスク枠にて当選。 こんなの初めてです(笑) ありがとうございました。 でもこれは予告で絶対観たい! って思ってたんですっごく嬉しいー 「人生を自分で選べる人、選べない人」みたいなコピーがあったらやっぱり気になりますよね。 今の世間と同じ香りがする。 何と言っても安藤サクラです。 カヨちゃんさいこー! 万歳! ですね。 「カヨちゃんって、ブスでバカで○○○なんだね」って言われたら、というかそんな役貰っちゃったら哀しすぎると思うんですが、 それでも安藤サクラという女優はちゃんと作ってくる。 そこがあっぱれです。 誰とでもセックスすることで自分の立ち位置を確保しているカヨちゃん。 すごく見てて「痛い」んだけど、悲痛さを出さないようにしているから、あくまでも カラっと乾いている。 だけどカヨちゃんの心の中は寂しくて仕方なかったんじゃない? 「彼にいちいち言うと重たい女になっちゃうから、敢えてそれを言わないようにしよう」 っていう計算がカヨちゃんにはできない。 できないけど、彼女にあるのはまっすぐな心。 どんな過去があろうと構わない。 それがどうしたの? 私は好きなものは好き。 好きな人とはつながっていたい。 そんな不器用なカヨちゃんが、何か可愛くてしょうがなかったです。 ケンタが唯一頼りにしていたもの。 それが全く別の方向を向いていて、自分ではどうしようもないとわかった瞬間から、 彼は現状とは訣別したいと感じ始めてしまう。 しかしジュンにとってそれは許しがたいことだった。 何故ならジュンにとっての唯一はケンタだったから。 そしてカヨちゃんにとっての唯一であるジュンは、カヨちゃんを見ていただろうか。 メリーゴーラウンドのように、ぐるぐる回る3人の世界。 目の前を走っていても、決してつかむことはできないもどかしさ。 つかまないからこその心地よい世界。 そのバランスが崩壊した時、彼らの時間もそこで終わってしまう。 まっすぐ過ぎるが故の崩壊なのかもしれない。 それをとどめるために取った手段も彼らの世界の中でしか通用はしないだろうけど。 とにかくどうにも救いようがない話だなあという印象なんですが、 その中で、彼らは彼らなりの論理を通したんでしょうか。 こんなに使えない世の中、そしてどうにもならない俺ら。 だから自分たちの「国」の中でルールを作っていく3人が痛々しかった。 昨今の社会状況も、オール・オア・ナッシングとなりつつある中、その状況に対して徹底的にプアなサイドから見つめた時にどうなるのかということも考えさせられる。 ましてケンタとジュンには、親という後ろ盾がなかった訳だから、 そういう「持たざる側の論理」をここまで抉った作品というのもあまりないように思う。 いつもどこかでお茶を濁されてしまうから。 しかし救いようがない結末にして、正面から見るのも辛い状況にしたことで、このことに本気でぶつかろうとしている監督の気持ちもつかめて来るような気がする。 ただ、惜しいかなと感じたのは、この話を「私たちの望むものは」に 集約させた感もあるのかな? と思えてしまったこと。 エンドロールを最後まで観てしまうとそう感じてしまいます。 必ずしもそうではないと思うんですが、歌が先なのか、脚本が先なのかという風にも取れてしまうんですね。 ここは敢えて、エンドロールを最後まで観ないで席を立った方が、 この映画の余韻に浸れるのかもしれません。 ********************************* 今日の評価 : ★★★★ 4/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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