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びー。@ Re:久しぶりぃ〜(09/01) おかえりなさいませ? なんか違うな。別荘…
みえこ55@ Re:2015年my映画ランキング:元気にしています(01/02) お久しぶりです〜^o^ ブログにコメントを…
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kaoritaly@ Re:2015年my映画ランキング:元気にしています(01/02) ご無沙汰してます。 ベスト10の映画、…
rose_chocolat@ Re[1]:2015年my映画ランキング:元気にしています(01/02) みえこ55さん こちらこそレス遅くなりす…
2010.06.17
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カテゴリ:洋画(は行)

原題: ENTRE LES MURS/THE CLASS

監督 : ローラン・カンテ

原作 : フランソワ・ベゴドー

出演 : フランソワ・ベゴドー

観賞劇場 :岩波ホール

公式サイトはこちら。


<Story>


パリ20区の中学校を舞台に、様々な出身地、様々な文化的背景を持った生徒たちと、真剣に向き合う担任教師の1年間を、いきいきと描いた感動作。(作品資料より)

パリ20区、僕たちのクラス - goo 映画
パリ20区、僕たちのクラス - goo 映画




<感想>

今年のフランス映画祭の最終日に上映があった作品。
残念ながら最終日はスルーしてしまったので、第61回カンヌパルムドールの本作は、本公開まで待たないといけなかった。
ようやく行ってきました。  待ち遠しかった。。。



フランス、パリ20区の公立中学3年生の日常を描いた作品。


中学生はうちにもリアルタイムでいるが、この教室を見たら日本の中学生はぶっ飛ぶに違いない。
彼らは好き放題に嬌声を上げ、iPodを聴き、お菓子を食べ、そして教師の言うことは当然のように聞かない。
しかしながら、同じ年代で最近似たような光景を繰り広げた『告白』の生徒たちとは明らかにその騒ぎの質は異なっている。
日本の中学生が騒ぐのは自分に自信がなく不満だらけだから。 しかしこのクラスの子たちが騒ぐのは、思春期特有のエネルギーの発散ももちろんのことだけど、背景にとてつもない不安を抱えているからかもしれない。


教師の発言には積極的に上げ足を取る。 そして上げ足を取った者に対しての容赦ないつばぜり合いの応酬が延々と続く。 何でも「一言余分」なために、絶え間なく起こっている摩擦、そしてクラスの殺伐とした雰囲気のなか映画は進む。


その摩擦の根本的な原因の中に、フランス社会に根深く問題となっている移民問題がある。 実際にこのクラスの生徒24名のうち、純粋に「フランス人」(白人というカテゴリ分けで考えています)は半数以下。
あとは黒人、アラブ系、アジア系。
とりわけこのクラスを揺さぶっているのは黒人生徒たち。 彼らの民族事情もまた複雑である。 一口にアフリカと言ってもその力関係は彼らでないとわからないのかもしれない。 同じ黒人でも、アフリカ系とカリブ系とではまた異なる。 単純に肌の色だけでは計り知れない問題が横たわっているのはアジアだって同じなのだけど、実際にそのすり合わせを行っていくことが如何に途方もない作業であることを思い知らされる。


その、普通であれば「どうしようもない、手に追えない」子どもたちに向き合う国語教師のフランソワ。
子どもたちにだって十二分に言い分があるのかもしれないが、教師だって言いたいことはごまんとある。 それをガツンと言ってしまえば、キレてしまえば事は簡単に済むのだけど、それをせずにあくまでも生徒の欲求を探るフランソワ。 
彼の対話方法はソクラテスの演繹法にも似ている。 
漠然とした言葉を並べたてて教師を困らせる生徒、その言葉をかみ砕いて検証して行くのである。 学校の、守られるべき規則を破る発言以外は、決して頭ごなしに最初から否定することはない。 そして彼らに自己を語らせることによって尊厳を知ってもらいたいという願いもある。


しかしながら現実はそんなに甘いものではなく、フランソワの期待を簡単に崩してくれることばかり。
で、ついつい言ってしまうのです。 余計なひと言を。
その言葉がスルーできるほど生徒は大人じゃなく、またスルーできない内容だから、侮辱されることに人一倍敏感な年代だからこそ膨れ上がる日ごろの不満、鬱屈。
教師だって日ごろこれだけ忍耐の日々なのだから・・・ と説明しても生徒は分からない。
分からないままにお互い進んでいかねばならないのである。


実際に荒れる子を見て、どうして? と思うこともあるだろうし、途方に暮れてしまうこともあるに違いない。
でもよくよく考えると子どもたちはさみしいだけなのかもしれない。
既存のどんな学習態度も拒否してきたスレイマンが見せた、はにかんだ笑顔。 あれは彼自身が初めて「認められた」瞬間だったのかもしれない。
移民だけに家庭事情や経済状況も複雑な子が多いことも、その不安を覆い隠すかのように荒れる原因の1つだろう。
さみしいから、構ってほしいから邪魔する。 それはある1つの枠から考えると絶対にハマってはいない。 けれど大人たちは本当に彼らの心に触れたのだろうか。 触れてから物を言っているのだろうか。
あのスレイマンの笑顔がどうしたらいつも見れるようになるのだろうかと考えていただろうか。


残念ながら、教育の場は「大人たちの論理」で動かさねばならないため、その枠組みにはまらない場合は一定の訓戒がある。 どこかで線引きもしないといけない。
その決断を下さなければならなかった立場、そしてそれを受け止めないといけない立場。
双方が向かい合って、とことん対峙して過ごしている世界がここにある。
原題"Entre les murs"は「壁のうち」だが、その壁(=学校)に通う生徒たちは、壁の外(=家庭、社会)から様々な問題を運んでくる。
問題はあまりにも個人的な枠を超えていて、学校でも対処できるものでもなく。
それでもお互いを理解して行こうとする姿勢がラストシーンじゃないだろうか。
あくまでも相手を受け入れようという度量の深さには、ただただ感服するばかり。 間違いなく傑作です。





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今日の評価 : ★★★★★ 5/5点












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Last updated  2010.06.20 07:26:30
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