夏競馬も今週で終了!
8月最後の書き込みは古谷が担当です。 10年以上北海道に来ていますが、お盆過ぎにこれほどまでに蒸し暑い日が続くのは初めて。色んな方々との話の中で「もうすぐ9月なのに、これだけ暑くて参るねぇ」というのが挨拶代わりになるほど。先週の日曜日は、競馬が終わって日高に帰っていく方々の話を聞くと、霧がものすごかった様子。朝、晩はさすがに秋の気候になる日が多い時期ですので、日中がものすごく暑いと気温差で海沿いは霧がかる可能性が高くなります。それだけに、今週のホッカイドウ競馬の開催は心配されましたが、全く霧にたたられることもなく、滞りなく終わりました。 昨日は2歳牝馬三冠の第1弾「リリーC」が行われました。1000mと特殊な距離設定ですが、勝ち馬の出世率が非常に高い1戦です。向正面のちょうど真ん中にスタート地点があり、3コーナーまでの直線距離が短く、最初の1Fでの先行争いが激化する傾向にあるコース形態なので、ラップ構成として考えればオープン競走の中でも厳しいもの。その中で上位争いを演じる馬は、短距離適性だけでは勝てないレースだと言えます。 昨日の競馬も、自分の採った時計では12秒5-11秒0-11秒8-12秒8-13秒2=1分01秒3というもの。3コーナーを過ぎた後も11秒8のラップで、先行勢とそれを追い掛ける馬たちの少し離れる展開になり、今週のタフな馬場状態を考えると、前にいる組は一杯になる計算となりますが、ハニーパイはその流れを掛かり気味に2番手につけ、押し出されるように直線入口で先頭に立った後も13秒2でラスト1Fをまとめ、ホリノケイとジョリーフルールの追撃を振り切りました。 角川師にラップを聞かれ、上述の時計を伝えると「結構キツい競馬をしているね。その中で上がりもまとめているとなれば、距離が延びても対応できると思う。川崎のキツいコーナーなら、マイル戦でもペースは落ち着く傾向にあるので、ローレル賞という選択肢も考えていたが、フローラルCで二冠を狙う手もあるね」と話されていました。ハニーパイは、ここ2戦で控える競馬をしてきたことが、ハイペースが想定されるリリーCで生きた形となりました。 大分昔になりますが、とある馬の取材をしていた時に、某調教師が「脚質転換をするには2、3戦の捨てレースは考えておかないといけない。せっかく折り合いをつけ、後方で脚を溜める競馬を覚えたと思っても、1つのレースで掛かって前に行ってしまったら、また2、3戦覚えさせるためのレースをしなければいけない。それだけ、脚質転換っていうのは難しいし、教え込むのも忍耐が必要となります」と話していたことを思い出します。「KEIBAコンシェルジュ」の中でも、大きなレースで逃げ馬をあまり強調しなかったり、逃げ馬ではないのに前哨戦で逃げ切り勝ちを収め、その内容が楽だったからと言って本番で人気を集めるような馬には軽く扱うようにしているのも、その話が自分の中で「なるほど」と思っている部分があり、実際に結果もついて回ることが多いからです。 今年で言えばディープブリランテ。共同通信杯でハナへ行ったことは、次には間違いなくつながりません。しかし、スプリングSと皐月賞で折り合いをテーマに我慢させたことが、ダービーへの糧となったと思います。また、ロジユニヴァースも、弥生賞で逃げ切って勝っていますが、皐月賞では惨敗し、ダービーで巻き返しています。レース1つ1つにドラマがあり、後検証をしっかりすることで、予想的中への道を切り開いていこうとする訳ですが、ハニーパイのレースは自分の中では会心でした。 そして、何よりも黒澤愛斗騎手が重賞初制覇を飾りました。宮崎騎手の負傷により、重賞の人気馬にピンチヒッターとして騎乗しての重賞Vは、重責を果たしたとともに、努力家である黒澤騎手の人柄が代役を任せることにつながったんだと感じます。「愛斗が重賞をまだ勝っていないのは知っていたし、何とか勝たせてやりたいと思って、古馬の短距離重賞でも乗ってもらったりしたけど、こういう形とはいえ重賞を勝たせることができたのは個人的にも嬉しいね」と、角川師がレース後に話していたのも印象的でした。黒澤騎手は「11Rは取り消したし、もう8Rで帰ろうと思っていたら、このような乗り替わりでチャンスを頂きました。スタートして止まったりしたレースもあったり、今日は色々あったけど、その中で最後にこんな嬉しいことが巡ってきて、ビックリです」と、喜びをかみしめていました。 さて、2歳戦と言えば、今週はJRA札幌シリーズのフィナーレを飾る「札幌2歳S」、そして「すずらん賞」が行われます。札幌2歳Sにはジェネラルグラントが参戦。火曜日に坂路で最終追い切りを行いましたが、ラゴディラゴライを4馬身ほど追い掛ける形で最後は併入に持ち込み、素晴らしい動きを見せました。(左がラゴディラゴライ、右がジェネラルグラント)(手前がジェネラルグラント)「クローバー賞の入厩時はカイバ食いが細くなり、馬体の回復に努めながらの調整でしたが、今回は入厩後も順調で、ビシビシ調教を積めている点からも前走以上の状態で挑めます。何とかひと泡吹かせられたら…と力が入りますね」と広森師。芝適性に半信半疑だった前走時より、良い意味で裏切った芝適性の高さからも、さらなる期待を寄せています。確かに相手は強力ですが、こちらも最高の状態で挑めることから、どれだけ通用するか注目したいと思います。 また、すずらん賞はホッカイドウ競馬勢の活躍が毎年のように見受けられるレースでもあり、今年も期待が高まります。このレースには、スーパールーキー・阿部龍騎手もJRA初挑戦、芝のレースを楽しみにしていましたし、その手綱捌きにもぜひ注目して頂けたらと思います。 そして、3日(月)には水沢競馬場で「ビューチフルドリーマーカップ」が行われ、ノースクイーンCの1、2着馬であるショウリダバンザイとサクラサクラサクラが参戦します。どちらも状態は絶好、ショウリダバンザイは昨年の雪辱を果たしたいところですし、サクラサクラサクラは小回りの適性の高さで前残りを狙っています。サクラサクラサクラはハナにはこだわらず、前走のようなレース運びをする可能性が高いでしょうが、4角先頭は予想されます。その時にショウリダバンザイが射程圏内に入っているか、この追い比べに注目ですね。 JRAの日程でいう「夏競馬」がこの週末で終わりますが、まだまだ暑い日々が続きます。くれぐれも体調管理には気をつけて、競馬を楽しみたいと思います。