競馬への思い、人それぞれに…
金曜日は古谷が担当します。 火曜日の北海道は大荒れの天気。この日の朝イチの飛行機で千歳に飛び立ちましたが、羽田空港にいた時に函館行きが「天候不良で引き返す恐れあり」の放送がありました。だから、時間が経つにつれ千歳や日高にも影響を及ぼす可能性があるな、と感じ、日高に行こうかどうしようか迷って千歳に到着しようとした時、飛行機はかなり揺れ、雪も結構降っていたので、この段階で札幌に行くことを決定。札幌の部屋に着いて原稿を書きながらテレビを見ていると、次々に警報や通行止の情報が流れており、日高に行かなくて正解だったな、と強く思った次第です。(札幌もこんな天気でした) フェイスブックで日高や胆振の方々のつぶやきを見ていると、確かに大変なことになっていると思いましたが、特にひどかったのは胆振方面。知り合いの牧場は、倒木の時に電線をぶった切ってしまい、北海道電力に連絡したところ、市街地の復旧に時間が掛かるので当分行けない、と言われて困っていました。ようやく翌晩に電気がついたそうですが、台風みたいな天候で雪がつきまとうとこんなに大変なんだな、と強く思った1日でした。 1泊2日の北海道でしたが、28日の夕方に東京に戻ってそのまま大井へ。大川さんも書かれていますが、勝島王冠は3歳馬・プーラヴィーダがカキツバタロイヤルとの接戦を制し、重賞初制覇を飾りました。東京ダービーは惜しくも2着でしたが、この秋は勝島王冠に向けてローテーションが組まれ、3連勝でしっかりと目標を達成。少し疲れも見られたとのことで、東京大賞典はパスする方向で、来年の金盃を目標に調整される見通しですが、伸び盛りの3歳馬だけに、大事に使われ成長していけば、来年の飛躍が期待される馬でしょう。 さらに29日は園田競馬場へ。ホッカイドウ競馬からハニーパイとヨウメイモンの2頭が参戦し、いずれも有力馬として期待を抱かせる馬だっただけに楽しみにしていましたが、結果はハニーパイ3着、ヨウメイモン5着と、健闘はしたもののJRA勢に厚い壁を破ることはできませんでした。 勝ったケイアイレオーネは、スタートが遅く位置取りも悪くなってしまったものの、向正面から一気にスパートし、そのまま押し切る強い競馬。勝ち時計の1分26秒4も、例年より約2秒速く、能力の違いをまざまざと見せ付けられた格好でした。次走予定の全日本2歳優駿はもちろん、距離が延びても楽しみな逸材とのことで、UAEダービーも意識しているそうなので、川崎での走りも期待が高まります。 ホッカイドウ競馬勢のコメントは、ホッカイドウ競馬オフィシャルホームページでご確認ください。兵庫の調教師の方々も、「今年の北海道は強いね」と口にされていましたが、地方競馬の中では厳しい競馬を春から積んできているホッカイドウ競馬の2歳戦は、全国の頂点に位置していなければならない自負が関係者にもありますし、僕らも時計を採り、例年と比較しても今年のレベルは高いと感じていましたので、そういった発言を各地で耳にすることは嬉しく思います。 とはいえ、前にも書いたことがありますが、生産、育成全体のレベルが上がっているので、どの地区も例年よりレベルが高いと言っても、JRAもレベルは上がっており、その壁は大変厚いものです。地元での比較は今後の競馬において、あまり意味を成さないことを毎年のように経験していくと実感しています。 さて、坂田さんや小枝さん、大川さんのブログで触れられていましたが、ジャパンCや福山競馬の話題はそれぞれに思いを馳せるところでしょう。ジャパンCに関しては、誰もが「近年稀に見る名勝負」と思うレースだったことは間違いありません。ファンとマスコミ、競馬関係者のそれぞれが思うベクトルが同じ方向に向いていない気が最近します。それは、あらゆる分野でもそう感じます。テレビで民放離れしているのも、報道の仕方やバラエティの方向性が視聴者に向いていないことの表れだと思いますが、競馬の世界でもそう感じます。ジャパンCを見た後の感想と、翌日以降の各スポーツ紙での扱い方で、その辺りを感じました。 また、福山競馬の廃止報道が出た後、騒ぎ立てる人もいますが、大川さんが書かれている通り、表に出た時にはもう遅い、ということを理解しなければいけません。唐突な発表でもなければ、廃止ありきで事を進めてきたということでもなく、2年前の状況から収支を見ていった時、致し方ない数字になったからこそ出た結論であることは受け入れなければならない現実です。地元の人間でないと、かなり勉強しなければ、その地域の財政、経済状況や政策、取り組みはわからないし、その中で公営競技のある地域は、地元の理解を得ているのか、ということもわかりません。 存廃論議の時、感情で物を語っても何も生まれません。なぜそうなったのか、何がダメだったのかを検証し、廃止された競馬場の教訓を生かして、次なる廃止競馬場を生み出さない努力をしていく方に力を注ぐべきだ、というのが個人的な意見です。 競馬に携わっていると、競馬関係者側の意見ばかりを耳にし、アンバランスな批判を展開してしまう傾向にある人が見られます。しかし、競馬の仕事をしているからこそ、こういう時だからこそ、冷静に状況を把握、分析した上で発言していかなければなりません。 色々と難しい時代です。しかし、多くの情報が飛び交う中、マスコミに位置する者は、一方に偏った意見を持たず、さらに自分の意見をしっかりと持つことが求められる時代でもあります。