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カテゴリ:牧師の視点
宗教の世界と医療の世界では、取り扱う対象が違います。宗教は心の世界、医療は身体の世界を取り扱います。
精神病は一義的に脳の病気です。脳の機能が冒されることにより、結果として心が病みます。ですから、先ず医療により身体が癒されなくては、心が癒されることはありません。 宗教家は信仰で精神病を癒せると錯覚し、取り返しの付かない判断ミスをすることがあります。精神病を疑われる人は先ず医療の世界に委ねるべきでしょう。 宗教家の果たすべき役割は、精神病の患者が医療を受け続けることをサポートするところにあります。 精神病者を医療の世界に導くためには、様々な努力が必要とされます。精神病者は治療を拒否する場合が多いからです。 治療中は主治医と密接に連絡を取り、治療を妨げるような言動を慎まなくてはなりません。特に、宗教家の独善は治療にマイナスになる場合が多いからです。 宗教家は精神病者の身体が癒されるに従い、心のケアーに取り組むべきですが、医療の妨げにならない様に注意しなければなりません。 しかし、医療は心の問題(生きる意味)には無力ですから、宗教家は心の癒しを計るべきですが、あくまでも「急がば回れ」を肝に命じて置くべきです。 アルコール依存症も精神病ですから、先ず医療機関に相談すべきです。先ず、精神科的、内科的な治療を受けさせなくてはなりません。 主治医の指示に従い、自助グループ(断酒会、A.A.等)と繋がりを持つべきです。医療に否定的な自助グループもありますが、宗教家はそれに同調してはなりません。宗教家の落ち込みやすい落とし穴だからです。 自助グループでも医療を拒否する者の集まりには距離を置いた方がよいでしょう。自助グループはあくまでも治療を受けている者の集まりだからです。 宗教家の欠点は信仰による癒しを盲信しやすいところにあります。医療を否定する宗教家すらいるぐらいですから、自らの力の限界を知るべきでしょう。 宗教家は心の世界を、医療者は身体の世界を分担し、身体(脳)が癒されてくるに従い、心の世界への働きかけを強めていけば、理想的なケアーができると思います。 堀 俊明のブログ:http://plaza.rakuten.co.jp/dochinn/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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宗教というキーワードが、人間の精神を癒す一つであることは紛れも無い事実だと思います。しかし、近頃では、それを一種のオカルトだと勘違いし、全てを否定する若者が多い。無宗教を自慢する人間が目立ちます。元来、宗教というものは記事に書かれているような役割をもっと担っても良いはずなのですが・・・この現状が、今の日本人の病む原因なのかもしれません。 (2006/07/24 08:30:07 PM) |
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