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カテゴリ:原子力発電所
今年は去年と一転し、記録的な暖冬になりました。ヨーロッパ、ロシアも暖冬になり、オーストラリア東部は異例の大干魃に見舞われています。21世紀に入り、世界各地で異常気象が続き、地球温暖化を身近に感じさせられています。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の評価報告書によれば「地球の気候システムに温暖化が起きていることに疑いの余地はないとしたうえで、人間活動による二酸化炭素などの排出がその原因である」と断定されました。 温暖化による正のフィードバックが働き、地球の環境が人類の生存を許さなくなるまでに残された時間はあまりないようです。恐らく人類に残されている時間は数十年単位でしょう。炭酸ガスの濃度は危機的レベルに近づいています。 病める地球に処方する解熱剤として適切なのはエネルギー源を化石燃料から原子力にシフトすることです。原子力発電所が増えれば、火力発電所から排出される炭酸ガスを劇的に減らすことができます。それ以外の選択肢は考えられません。 原子力発電所で事故が起きれば最悪のケースでは炉心溶融が起きます。チェルノブイリ原子力発電所の事故が思い起こされますが、旧型の欠陥炉が起こした事故であり、現在の原電では炉心溶融が起きる可能性はかなり低いと考えられます。 最悪のケースで炉心溶融が起きれば人口が密集している日本では致命的な被害が予想されますが、適切な運転がなされていれば理論上は起きません。しかし、電力会社の利益を優先にしたマニュアル無視の運転管理は信頼できかねます。 電力会社が適切に運転していれば原電の周辺環境への放射能汚染は核実験による放射能汚染から比べれば僅かなものです。例えば周辺の海藻の放射能レベルは旧ソ連の1970代の小規模な核実験に起因するものの方が高い値を示しました。 アメリカのスリーマイル島原子力発電所の事故では炉心溶融は免れましたし、放射能は格納容器内に閉じこめられました。現在建設されている原子力発電所の安全システムはさらに高性能になっているでしょうが、運用次第でもあります。 エネルギー源を原子力にシフトするのは緊急避難です。取りあえず2~30年の時間を稼ぐには火力発電所からでる炭酸ガスを減らすしか考えられません。省エネ技術が進んでも炭酸ガス濃度の激増を僅かに抑えるぐらいが関の山です。 中国、インド、ロシアなどの高度成長が見込まれている地域では自家用車が激増し、ガソリン消費が鰻登りになるでしょう。産業活動も高まりますが省エネの余裕はないでしょう。電気製品も普及しますが、省エネ技術も焼け石に水です。 中国、インドなどと日本との間でエネルギー争奪戦も激化します。原油高は避けられないでしょうが、省エネの動機付けにはなります。ガソリンの価格が上がれば省エネ車が普及しますが、究極的な省エネは原電からの電力の活用です。 バイオマスの活用は廃棄物のリサイクルとしては有用ですが、農産物をエネルギー源にするのは食糧危機を加速するようなものです。風力発電は環境破壊のデメリットの方が大きいですし、ソーラーシステム技術もコストが掛かりすぎます。 数十年間の余裕があれば地球温暖化に対する技術開発の目処も立つでしょう。取りあえず対症療法として、地球温暖化が正のフィードバックに陥る前にエネルギー源を原子力にシフトする熱冷ましを処方して様子を見てみるべきでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007/02/13 12:24:07 PM
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