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カテゴリ:政治
バイオガソリンが地球温暖化の特効薬になるかの報道がありますが、基本的に誤っています。炭酸ガス収支だけを考えても、サトウキビを栽培のために伐採される森林の炭酸ガス吸収を越える炭酸ガスが燃料化されるのかは分かりません。
むしろトウモロコシ、サトウキビなどの市場価格が高騰した結果転作が進み、果樹園までもが伐採されています。数億人を越える人々がその日にも食べるものがないのにも拘わらず、先進国は食物を燃やして車を走らせているのです。 人間にとって最も大切なのは食物です。食物を大切にしない国は滅びます。ローマの貴族が美食、飽食を楽しむために食べた食物を吐き出し、さらに食べたそうですが、食物をガソリンの変わりに燃やす神経はそれと同等か、それ以下です。 現代文明も末期を迎えた感じがします。飽くなき食欲を満たし、メタボリックシンドロームで早死にするのは勝手ですが、貧しい人たちから食物を奪い、飢えで苦しむ人たちを放置し、好き放題に生きる現代人は神の裁きを受けるでしょう。 バイオガソリンは廃棄物から生成する場合にのみ初めてエコ製品になるのです。日本で捨てられるゴミは信じられない量に達しています。輸入された食料の半数ぐらいはゴミとして捨てられるそうですが、これらを発酵させれば燃料になります。海外から輸入するのではなく、国内のゴミから燃料を造るべきです。 バイオガソリンは貧しい人から奪った食料ですから、輸入するべきではありません。タンカーが消費する重油も馬鹿になりません。商品作物化したトウモロコシ、サトウキビに用いる肥料に使われる石油の量も馬鹿にならないでしょう。 アメリカがバイオガソリンにシフトしたのは形を変えた農家の保護政策です。貿易自由化交渉が進み、アメリカも農家を保護する政策を取りにくくなりました。大統領選のために共和党が支持基盤である農家へ利益誘導をしているのです。 食糧の過半数を輸入している日本が農業国のアメリカに追随する必要はありません。食糧危機が叫ばれているにも拘わらず、バイオガソリンに傾斜する日本は自らの足を食うタコのようなものです。関連投資も馬鹿にはならないでしょう。 化石燃料を節約するためには原子力に頼るしかありません。地球温暖化が進めば、放射能汚染を云々する以前に人類は滅亡してしまうからです。子孫のことを考えるのならば食糧の節約に心がけ、エコロジカルな生活をすべきでしょう。 ガソリンとして燃やされる食糧があればアフリカ、アジアの貧困で苦しむ人たちに分け与えるべきです。先進国の我が儘放題が許される世界は異常です。人権外交を標榜するアメリカが足下では貧しい人たちから食べ物を奪っています。 日本人は戦後の飢えで苦しんでいた時以上に飢えで苦しんでいる人たちが世界には大勢いるのです。トウモロコシ、サトウキビをバラ撒いているのが分からないだけでインディ500では見せ物のために食べ物を燃やして走っているのです。 私たちはバイオガソリンの美名の裏に隠されている真実を知るべきです。透明なバイオガソリンの向こうには飢えで苦しむ子供の顔があるのです。バイオガソリンは地球温暖化対策の切り札ではなく、悪をばらまくジョーカーなのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007/04/28 09:17:01 PM
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