日中関係をウィンウィン関係にせよ
中国共産党の第17回党大会が開幕しましたが、中国を皇帝が支配する郡県制国家と見なし、党大会も皇帝の権力を披露する場ぐらいに理解すればよいのかも知れません。世襲制ではありませんが、中国伝来の慣習が生きています。 毛沢東はマルクス・レーニン主義を権力奪取の手段として利用しました。社会主義を中央集権体制確立のためのイデオロギーとして利用した点ではスターリンと同様です。毛沢東が天命に従い皇帝に就任するのが自然な流れでした。 対外的には共産主義を標榜していましたが、対内的には形を変えた皇帝でした。対日戦争で疲弊していた中国を再建するには皇帝が必要とされたのです。共産党は皇帝を頂点にした中央集権を維持するための官僚システムなのです。 少なくとも読み書きができない農民には革命は雲の上の出来事でした。役人の顔が共産党の幹部に変わっただけでしたが、毛沢東のカリスマがスターリンの圧力に抵抗し、中国の独立を維持させました。中国を自力更生させたのです。 中国には3000年の歴史がありますから、200年の歴史しかない民主主義を取り入れる気はないのでしょう。中国は他民族、多言語国家ですから、地方は冊封国家のようなものです。中央の統制が効かないのはむしろ当たり前です。 胡総書記が「科学的発展を推進し、社会の和諧(調和)を促す」方針を協調しても、地方の乱開発、公害垂れ流しは止まないでしょう。地方には地方の利権構造ができあがっているからです。中国流拝金主義のなさる業なのでしょう。 中国では800人にGDPの16%が流れているそうですが、極端な格差社会は社会不安を引き起こしかねません。中央と地方、海岸部と内陸部、農民戸籍の民工と都市戸籍の都市住民との格差は日本人の想像を超えるもののようです。 世界の工場として発展してきましたが、産業廃棄物は国内に堆積しています。見方を変えれば、先進国は製品だけを輸入し、産業廃棄物を中国に押しつけていますから、先進国の快適な生活は、中国の犠牲の上に成り立っているのです。 炭酸ガス排出量、産業廃棄物の急増は中国の構造的な問題ですが、先進国にも責任があります。胡総書記の危機感を世界が共有しなければならないでしょう。江体制下における高度成長路線はかつての日本が歩んできた道だからです。 中国のバブルが弾ければ世界が同時不況に陥るでしょうし、政治情勢が不安定化すればアジアは危機に陥ります。日本には公害対策のノウハウがあります。省エネ、省資源の技術はトップレベルですから、協力できる面が多いようです。 日本の対日感情は中国の排日運動から急激に悪化しましたが、中国外交のミスだと思えます。中国は日本を利用する方向に舵を切ったようですから、日本も土下座外交から脱皮し、日中友好をウィンウィン関係に持って行くべきです。 中国を西洋の価値観で見てしまうと誤りを起こすかも知れません。中国には皇帝が相応しく、民主主義は相応しくないようです。中央集権国家、郡県制ですから、民主化の加速と言論、報道の自由は漸進的にしか進まないでしょう。