老体に鞭打ち、今日は、1日中立ちんぼのビジネスであった。
そんな訳で、私は、帰る途中で茶をしばいた。
私は、実は、何を隠そう、時々、早く帰れる日にマッサージを頼むのである。そこは、某ヨドバシカメラ4階とか、某ミドリ電化の4階とかにあるマッサージコーナーである。料金は、税込み電気料金込みで0円である。私は、小学生以来の肩凝りでもあるのだが、今日は、その後で、寒いにも関わらず、テラスサイドでぼさっと茶をしばいていたことは前述の通りである。
人通りを見るのが、私の趣味の一つでもあるが、今日は、男が似合わず、子袋、いや、小袋を持っている姿を多く見かけた。某百貨店の袋に混じり、ゴジバもある。おお、この前、羽田空港で食った1つ800円のアイスクリームの店、ピエールマルコニーニの小袋を持っているヤカラもいる。
私の後ろで人を密かに待っていた男の元に、女がやってきた。そして、チョコレートを私、何かせかされているようであった。もう一度振り返り見ると、男はとても恥ずかしそうに、チョコレートを食べさされていた。女は手造りチョコにご満悦のようである。更にもう一度振り返ると、もうチョコレートを小袋に戻し、いざ立ち去らんとするところであった。
しばらくすると、派手でちょと危なそうな女性がカフェにやってきた。少し、不穏な動きをする彼女は、テーブルに座るや、1,2,3,4,5,6個の同じチョコレートの袋を出した。時間差攻撃で6人の男と会うのであろうか、という疑問を呈しつつ、私は、勝手にタイムアップ、その場を離れた。
そうそう、私の手には、一日中外での立ちん坊に備えて、ドカジャンが入っているだけだった。チョコレートについては、チャーターしたトラックで家に送ってもらっているところである。
考えてみれば、我が家では、宗教上の理由から、クリスマスやバレンタインデーはなかった。母が「うちはクリスチャンではありませんからね」というのであった。勿論更に、ブッダ的行事を行ったこともない。
それでもクリスマスに親からもらったのプレゼントというのは、多分、小学校低学年の時に一度あった。
子供時代は造成工事現場でいろんな奴らと遊んでいた。そこに誰かの母が通りがかった。
「みんな、クリスマスは何をもらったの?」
というと、皆が、口々に、ミニカーだとか仮面ライダーベルトだとか自転車だとか言った。何も言わなかったことに気がついたそのお母さんは、私をみた。
「昆虫の本」
小学生には文字が多すぎる多少専門的な本であり、漢字が多すぎる本あった。だから、私は、その本が読めなかった。それまで何も思っていなかったが、何となく惨めになって、少し母親に腹が立ってきて、涙が出てきた。
その夜寝る前に枕元で、母は、すねている私にその本を読んでくれた。