乗り合いタクシーでアルマトイから国境を越えて5時間半でビシュケクに23時に到着した。(国境超えに1時間かかる)
タクシーも予約したホテルを見つけることができずに、市内を回る。ここに違いないとやっと到着したのが、暗いソ連時代の建物で、ホテル名もディストクと書いており、私の予約したクラブホテルと違い、心配となるが、ここだと言い張られて、建物の前においていかれる。暗い。アパートのような所に入ると、5階に行けと警備員に言われ、5階にいくと、一角にフロントがあり、ダメ系ホテルの気配がする。
しかし、フロントのにいちゃんは親切で、部屋に入ると前面改装されており、綺麗で、ネットも無料で無線できるようになっていた。
もう23時半で、窓から外を見ると真っ暗で郊外のホテルかと思い(あまり町の中心部はなく23時で繁華街はない模様。中心から500メートルも離れてなかった。)、とりあえずバーか何かビールでも飲んで飯でも食えるところを探すかと外に出た。いつもは全財産持って行くのだが、何となく、荷物に鍵をかけ、30ドル分だけ現金を持って外に出る。
出るときに、どこかの航空会社クルー一行様が入ってきたので、ああ、一応ちゃんとしたホテルだったんだと安心する。
見回すと、3箇所ほど明かりがあり、歩いていくと、3分もしないうちに一番近いところが24時間スーパーで、ラッキーと思い、ビールと弁当(韓国系味付け細めん)を買い込んで外に出る。外の道脇には娼婦がたむろしており、そこをすり抜けてホテルに戻ろうとすると、すごい体格のおっさんが私めがけて走ってきた。
警官だった。
「しまった!これはやばい、これはうわさに聞く悪徳警官に違いない!娼婦を買ったと難癖つけてくるに違いない、目的は俺のビッグマネーだ!」と私は咄嗟に気がついた。
中央アジアではパスポート携帯が義務付けられているらしいが、それをネタにかつ上げするパターンだ。近年は減ったということらしかったが、ほんの一瞬ホテルをでるときにそのことを思い出したのか、キルギスマネーのみ持ち(いつもはホテルを信用してないので全財産持つ)出かけていたのであった。
「パスポート出せ、ポリスだ、すぐことらに来い」
「いや、ここでいい、ホテルはあれだ、俺は買い物だ」と2方向を指差す。
「ダメだダメだ」のようなことをいえわれ引っ張られる。
無理矢理ポリスカーに乗せられ身体検査開始。
「ダメだダメだ、日本大使館に連絡だ、それに明かりをつけろ、それまでポケットの中身は見せない」
というが、当然英語も日本語も通じず、パスポートを見て、
「ビザがない」みたいなことをいい難癖つける。
「じゃあ、お前の名前は何だ、あした警察に報告するから」とバッジを見ようとするが、書くものを忘れた。そもそも通じていない。
おまけに、ビールを見て夜中に酒を買うのは禁止だ、みたいなことを現地の言葉でわめいている、3対1で密室だ。
まったく分からないふりをするが、もう堪忍するしかない、友達になる懐柔作戦に変更し、「おまえら、おれと一緒にこのビール飲もうぜははっはあ」
と笑ってビールを取り出し勧めるが、目がまだ怒っている。駄目だ、分かる言葉もニエットだけだ。仕方ないと、あれだせこれ出せにいろいろ1ポケット一回ずつ見せる。デジカメ、財布、カードケース、マップ。それだけだ。デジカメはどうやってみれるんじゃいと怒っているが、どうせ金だろ、これは写してはいけないと難癖をつけるだけだろ。
そして、財布を調査される。すぐに、財布の中身を数えてたようだが、取り返したときには日本円にして1600円がなくなていた。(財布の中身は3000円ぐらいだった)すぐに気がついたが、ここは開放されることが第一と考え、これで金を払ったから、あとは、何かあるごとにグッバイ、とサンキューバイバイを繰り返し、30分ぐらい押し問答が続き、カードケースの中を綿密に調べられながらも、もしものときに挟んでいた20ドル紙幣もうまく見えないように調べさせ、やっといいぞとなったとき、すなわち、やっと、3人に悪徳警官が笑顔になったとき、ドアをあけて、「ところでおれの財布にあった1000コロナ返してくれ、知ってんだぞ」、
とポリスカーを降りてからいうと、あほな警官、取ってないと尻を上げてしょおもないゼスチャーしやがった。死ねと思ったが、ああそう、前のポリにに渡してたの見えてたわいボケ!カズ!といってドアを思い切り閉めて、走った。(思い切り閉めて怒り出さないか、急に心配になったもので)
一連の連行を見ていた娼婦の方々に哀れみの目をされ、なぜか、やられちまったよ、と私も彼女達に眉毛への字型ポーズをとり、ホテルに戻り、即、明日の12時のチェックアウトを延長しもう一泊でいいから明日の23時チェックアウトに変更してくれというと、半値で承諾してくれた。
すごくいいフロントマンだった。英語は下手で親近感が沸くけど、それ以上になんだか、俺の友達の弟に似てたんだ。君はいいやつだ、きっと皆言いやつだ。悪いやつはポリ公だけだ、もうケタックソ悪いこの国には二度と来ないから、サイナラだ!
ホテルの部屋の鍵を閉め、足音がすると、また警察キヤガッタか!と自意識過剰になり、ビール1リットルが15分ぐらいでなくなり、しまった!でも追加買いに行く勇気ねえ!と弱気に思うのであった。フテ寝だ!
朝、起きたら、景色にびびった。それは、はっと息を飲む。そして教訓を得る。外に出るときは貴重品もなんだが、メモ用紙と筆記用具を用意することだ!と悟ったのであった。しかし、圧倒的な不利な状態でまあ、20ドル分で済んでよしとするかと代償規制を働かせるのであった。
天山山脈7000メートルであった。