懐かしの将棋ゲームを攻略しよう:第121回 高速思考 将棋皇 (1)
今やコンピューター将棋は人知を超え、八冠達成したばかりの藤井聡太をも超えてしまっている。スーパーファミコン将棋ソフト、高速思考将棋皇が発売された1995年ころはコンピューター将棋はある程度将棋を指した人間にとっては大した強さではなかった。坂田大吉さんのサイトによれば、スーパーファミコン将棋ソフトの棋力は激指15で6~9級程度、プレイステーションでも最強は2級程度だった。当時はアマチュア級位者でもソフトの指し手の癖をつかめば倒すのはそう難しいことではなかった。さて、将棋皇では早指しを売りにしていて定跡も3万8千手である程度はいろいろな指し手に対応できるとのこと。このソフトに登場するキャラクターは棋士のそっくりさんというよりアニメや漫画のキャラクターのそっくりさんらしき人物が登場する。まず練習将棋モードで4人のキャラクターと対戦するのだが、最初の相手は山名桂子、将棋を始めたばかりのド素人とプロフィールにあるが、意外と強かったりする。将棋幼稚園あゆみ組のあゆみちゃんも初心者と言いながら結構それなりに指すのと同様油断はならない。先手:私後手:山名桂子▲7六歩 △8四歩 ▲7八銀 △3四歩 ▲7七銀 △6二銀▲5六歩 △5四歩 ▲5八金右 △5五歩 ▲同 歩 △同 角▲2六歩 △5六歩 ▲2五歩 △3二金 ▲2四歩 (第1図)第1図(▲2四歩まで)第1図まではかなり変わった序盤、定跡が入っている割に普通の矢倉にしてくれない。矢倉で早めに△5五歩を突くのは他のソフトでも見られる。当時のソフトの評価的には奇襲戦法や変則的指し方つまり定跡どおりに指さないのが弱いという価値判断なのだろう。第1図より△2二銀確かに第1図では△2四同歩とするのが普通なはずなのだが、やはり指し手がおかしい。以下▲2三歩成 △同 銀 ▲7九角 △7四歩 ▲1六歩 △4一玉▲1五歩 △5二金 ▲2五飛 △6四角 ▲2四歩 △1二銀▲7八金 △3三金 ▲6六歩 △9四歩 ▲6五歩 △7三角▲6六銀 △6四歩 ▲4六角 △6五歩 ▲7三角成 △同 桂▲5五銀 △5七角 ▲4八銀 △3五角成 ▲同 飛 △同 歩▲2三歩成 △同 銀 ▲2二角 △1二飛 ▲3一角打 △5三銀▲5四歩 △4二銀 ▲6四銀 △3一銀 (第2図)第2図(△3一銀まで)第2図より▲7三銀成 ここで▲7三銀成としたのが激指13の分析では悪手で2二飛と角を取った後手がはっきり優勢となった。ここでは▲3三角成としてから、△同桂に▲7三銀成とすべきだったようだ。以下△2二飛 ▲8二成銀 △5七歩成 ▲同 銀 △9三香 ▲9一飛 △5一金▲9三飛成 △1四歩 ▲5三歩成 △1五歩 ▲4三と △同 金▲同 龍 △4二銀 ▲5三桂 △3一玉 ▲4一金 △同 金▲同桂成 △同 玉 ▲5二金 △3一玉 ▲4二金 △同 飛▲2三龍 (第3図)第3図(▲2三龍まで)第3図より△8二飛 ここでの△8二飛が▲3四香を見落とした悪手で、当時の将棋ソフトらしく終盤になっても駒得を優先する手を指してしまうのだ。これで先手が大逆転となった。この後も危ない場面はあったが何とか勝つことができた。とても初心者の将棋に見えない。恐るべし山名桂子。▲3四香 △3二桂 ▲2二銀 △4一玉▲2一銀不成△4二金 ▲3三銀 △3一銀 ▲4二銀成 △同 飛▲3三金 △2二歩 ▲4二金 △同 玉 ▲4三飛 △5一玉▲5三飛成 △6一玉 ▲6三龍 △6二金 ▲7三桂 △7一玉▲6二龍 △同 玉 ▲6三金 △7一玉 ▲5三龍 △3九飛▲6八玉 △9五角 ▲7七桂 △8二玉 ▲6二龍 △8三玉▲8一桂成 △6九金 ▲6七玉 △6六銀 ▲同 銀 △4五角▲5七玉 △5六歩 ▲4六玉 △3七飛成 ▲同 桂 まで131手で先手の私の勝ち次は氷室香介に感じが似たキャラクターの持田竜一との対戦となる。