確率精度の高まり方の法則について
数学者の藤原正彦先生が書かれたエッセイに、「ビュッフォンの針」を取り上げたこのような内容のものがあります。大きな紙の上に等間隔で平行線を何本も引き、間隔の半分の長さの針を用意して放り投げると、落ちた針は平行線に触れたり触れなかったりする。このとき、どれかの平行線に触れる確率はπ分の一。これが数学のなんとも美しい定理。つまり3.14回落とすと1回だけ針は平行線に触れる。実際にこれを行なうと誤差というものが出るわけで、3回落としたくらいでは全部触れたり、全部触れなかったりすることもあるでしょう。落とす回数を重ねれば重ねるほど精度は増して、π分の一に近づいていきます。ここまでは感覚的に納得できるわけですが、その際の誤差の「縮まり方」にも法則があることをご存知でしたか?私は初めて知りましたが、実験の回数を10倍にする毎に、誤差は√10分の一になるのだそうです。√10は約3.16ですから、3回だけ落とすときと30回落とすときでは、0.32誤差が縮まります。300回、3,000回、30,000回、300,000回・・・・3千億回などと繰り返していくと誤差は限りなく低減し、π分の一に近づいていくわけですね。パーセンテージの話をするときによく「100回やったら○回の確率でこうなる」といった例えをしますけれど、1÷√100=0.1、100回やったくらいでは0.1(=10%)の誤差が残るということになります。「もし100万回やったらね、」という表現でやっと小数点以下のパーセンテージになるわけですが、こんな言い方しなくてはいけなくなったらややこしくて仕方ありませんね。日常生活を送るうえでは世の中便宜的なくらいがちょうどいいかもしれませんが、確率論というのはとても面白いと思います。KOICHI NAKAMURA