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カテゴリ:本
日本を代表する製造会社の1社であるキーエンス。
彼らは売上高に占める総利益・粗利(≒付加価値)の割合を8割程度と想定し、 これまで30年間にわたり、そのレベルをほぼ実現している。 本書では、大阪大学教授の延岡氏がキーエンスを研究し、 彼らがどのように付加価値を作り出しているのか、が述べられていた。 具体的には、 ・徹底した顧客情報/状況の収集能力とそれを実現する「直販」 ・顧客の困りごとを解決できる高い技術力 ・カスタム対応ではなく、マスへ展開する商品企画力 ・商品ではなくシステムを売るコンサルティング営業 ・これらを支える高い能力を持った人材と教育の仕組み であった。 それぞれを掘っていくと更なる発見がありそうな気もする… 本書に、 「ソリューションを売るには高いコンサルティング能力は必須で、 自社製品をコンサルティングするには直販が効果的」 とあった。 ”モノからコトへ”が世の中の合言葉になっている今、 ”コト”を意味するソリューションが必要で、私もそれに取り組んでいる。 ソリューションをどう売るか、もやっとして考え切れてなかったが、 コンサルティング能力、直販等のキーワードを教えて貰えた。 これを軸にもう一段深く考えていきたい。 本書は、自分たちが取り組んでいることが正しいと思える希望と、 それがキーエンスが長年培ってきた文化や仕組みの上での成り立っており、 普通の企業が生半可にマネできないといった絶望と、両方を味わえる1冊。 ”コト”売りに対する自分たちの取組に対して 希望と絶望を味わえる本として同僚に読んでほしい一冊 2024年6冊目 期間:2024年2月10日~2024年2月17日 題名:キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション 著者:延岡 健太郎 出版:日経BP 日本経済新聞出版 (2023/3/10) 内容(出版社より) 35,968位本 (Amazon本ランキング) 【内容紹介】 生産財企業に求められるイノベーションは、 顧客企業が大きな価値を享受できるソリューション提案です。 自社の商品と顧客企業の現場での提案を組み合わせて、 顧客企業の売り上げや利益が向上し、コストが低下する提案ができれば、 顧客はその費用対効果に応じて、大きな対価を支払ってくれます。 本書は、この視点から、 生産財企業を日本で最もうまく経営しているキーエンスを事例として、 イノベーションの論理と実践の両面から説明する。 【目次】 第1章 高付加価値経営による社会貢献 第2章 イノベーションの源泉:顧客企業の利益増加 第3章 生産財のイノベーション:理論解説編 第4章 顧客価値イノベーションの組織 第5章 顧客価値イノベーションを支えるソリューション部隊 第6章 高付加価値の新商品企画・開発 第7章 学ぶべき高付加価値経営 ●気になったフレーズ ・「困ったときこそ、キーエンスに相談すると、 コスト削減の提案をいろいろと考えてくれるので助かります」 という声を聞いた。 ⇒顧客との信頼関係が構築されているってことですね。 ・そのためには優れた商品開発能力とコンサルティング能力の両方が必要なので、 直販営業が必須だと結論づけたのだろう ⇒ソリューションを売るうえで、高いコンサルティング能力は必須で、 自社製品をコンサルティング営業するには直販が手っ取り早いは、その通り。 ソリューションが必要と考えている割にここまで考えたことなかった。 ・営業も開発も、商品を販売・開発する場合は、その前提として、 顧客の経済的価値がわかっていなくてはならない。 ⇒企画時の顧客の経済的価値がいつもあやふや… 情報入手できないし、分析する能力も足りない 何とかせねば… ・キーエンスでは、お客様(顧客企業)の業務の目的から製造工程や業務プロセスを すべて知ろうと努力するのが当然と考えられています。 お客様は先生なので、何一つ聞き逃すことのないようにします。 ・顧客企業の最終的な目的に立ち戻り、製造現場や業務プロセスの全体を熟知して、 顧客が考案できる以上の提案を目指す ⇒キーエンスの強さの一つである情報収集と分析についての記述 顧客の中に入り、顧客以上に顧客の情報を熟知することが重要。 わかっているけど、簡単にできることではない。 ・いくら優れた顧客企業であっても、基本的には、 自社のやり方やノウハウしか知らない。 優秀なコンサルタントでも同様だが、 顧客に対して優位な立場に立てる源泉の一つは、 多くの似たような事例を経験して熟知していることだ。 ⇒顧客に対して優位な立場で提案できれば、高い価格で購入してもらえる。 優位な立場になったことないな… ・しかし、近年、機能的価値だけだと2つの問題が顕著になっている ⇒一つ目は、機能の差分が価格に反映できなくなっていること 二つ目は、短期間で模倣されるようになってきていること 日本メーカーがハードウェアビジネスから脱却せざる負えない理由。 残念だが、技術の向上が利益につながらなくなっている ・営業に必要とされるのは顧客企業の利益向上に結び付くコンサルティング能力なので、 高度な能力構築が求められる ⇒情報収集、分析、コンサルティングとこれまでと全く違う知識が必要なので、 モノを売っていただけの営業に、明日からコトを売ってこいと言っても無理… 外から連れてきた方が早いし、効果もあると思う。 ・一般的に一流の技術者でも、顧客ニーズに合致した便利な新機能が備わった 優れた製品を開発すればよいと思っている。 ⇒前段で、顧客利益を高める提案能力を持った人材は多くないとあり、 キーエンスはそこ育てる仕組みがあるとあった。 最近、コンサルタントが不足していると聞くが、この辺りも関係するのかもしれない ・長年にわたり、多くの企業の業務プロセスを知り尽くす努力を続けなければ実現できない ⇒生産財は多くの企業が必要かもしれないが、大規模システムでは1社でも十分かも。 いずれにせよ、顧客の情報がなければ付加価値を見つけることはできない ・アート思考に優れた人材は、一流の芸術家や映画監督などが象徴的だが、 直接的にユーザーの声に左右されることなく、 自分が信じるあるべき姿を商品やサービスで表現する ⇒自分の信じるあるべき姿を思い描けるのは、素晴らしい能力だと思う 私にはこの能力がなく、人に合わせることが生きる道となっている… ・一般的な生産財企業は、多数の顧客企業における経済的価値の知識や情報が十分でないので、 競合商品の価格や市場の相場で、価格を決める場合が多い ⇒アダム・スミスの「見えざる手」ですね ・そもそも、一般的な企業で、慣習的に何年かに1度、形式的にまとめる中期経営計画が、 実際に、どれだけ長期的な成功に貢献しているのか検証が必要だろう ⇒常に短期と中長期の両面を見ながら事業を運営できている企業は、 何年かに一度ではなく、常に中期計画を検討しているので、イベント的な対応は不要。 それができてない短期的な視点のみ取り組んでいる企業は、 このイベントで中長期を検討するので、必要なことであるとは思う。 ただ、数字目標化してそれにこだわるのはナンセンスだと思う ・だからこそ、なるべき早期に、徐々にでも、顧客企業の現場を知る努力を始めるべきだろう。 困難さに圧倒されて諦めるのが、最悪である ⇒困難さに負けて諦めそうな私 ・製造企業の社会的な役割は、商品・サービスによって、 社会と顧客にとって、大きな価値を新たに創出することだ。 ⇒最近は儲けることが大事みたいな言い方しているので反省したい ・ソリューション提案能力構築のためには、多くの顧客企業の現場において、 業務プロセスや使用する技術、直面する問題点などに関して、 なるべく広い視点から丁寧に調査・観察をして、多様な視点から貪欲に学ぶ必要がある ⇒全員がこれを意識できれば強くなれると思う ・しかし、近年では、大型液晶テレビが明示しているように、市場がいくら大きくなっても、 ほとんどの企業におい付加価値創出ができない事例が増えた ⇒私はこれを”技術がサチっている”と表現している ・そこでまずは、企業全体を変革することができなくても、 自分ができる範囲で、小さくてもよいので、成功事例を作り出すことが重要である ⇒自分ができる範囲だけで本当によいのか、それが最近の悩み 本書からは数多くの刺激をもらった もっと刺激が欲しいので、もう少しキーエンスを勉強してみたい。次はこれ。 株が上がっているが、この先どうなるのか… 私は4月までにバブルははじけると思っているが、 それに備えて個人的に何をすればよいか勉強中。 慣れない金融資産の勉強でヘトヘト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.02.18 15:19:49
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