3.11後に見る「唐山大地震」
★唐山大地震(2010年・中国 3月14日公開) 日本公開直前に東日本大地震が起こり、公開延期になっていた人間ドラマ。1976年の唐山大地震で生き別れになった母娘が、2008年の四川大地震によって再開するという、中国人好みの再開ドラマだ。本作の冒頭で描かれる唐山大地震は重低音が館内で響き、かなりの迫力。それだけに2回目の鑑賞となる今回は、少々躊躇した。東京にいて地震の揺れと帰宅困難を体験した者にとって、あの地震のシーンは耐えられるものだろうか。そうした恐怖心を抱きながらスクリーンを見つめた。無駄な心配だった。意外にも冷静に大地震のシーンを見ることができた。それどころか、3.11前に見た時より、ずっと映画に寄り添うことができた。3.11前には「まったく中国人ってのは再会ものが好きだなあ」とかなり冷めた目で見ていたのだが、3.11を経験した後の今回はまったく印象が違う。この映画を日本に当てはめれば、唐山は阪神淡路であり、四川は東日本になる。そうした実体験が映画に重なり、登場人物の行動がぐっと自分に近く感じられる。見る者の感じ方によって映画の意味合いも変わる。そんなことを強く感じさせてくれる映画だった。あの日の東京を経験しながら、すでに3.11で学んだはずのことを忘れてしまったかのような東京の人にこそ見てほしい。