一年中、日高のお山でパン!と鉄砲を乱射しまくってる友達がいる。
いわゆる有害駆除のハンターである。
ある日、突然その友達から、重たいダンボール箱がドン送られてきた。
まだ若い鹿のモモと背ロースが二つづつ、、、一頭分、、多すぎるって、、汗
例年、秋にドラム缶炭火と生ビールをタップリ用意して、
アータラコータラいいながら飲み食いする集まりがあり、
鹿肉をタラフク食わしてもらっていたのだが、昨年の秋から集まりが無くなったのだ。
お礼の電話に際し友いわくは、
「毎年シカ食ってるヤツが食えんかったら、こまるべ、と思ってさ」
と、なんとも胸の熱くなる思い、、苦笑、、汗(量がオオスギルッテ!)
ともあれ、しばらくぶりに肉を裁くことになった。
愛用のカタナ類の中堅どころ「銀次郎」は、もっぱら鹿肉専門とも言え、
柄には、もう鹿肉の上質な油が染み込んで、防水剤になっている様な気がする。
助っ人のナイフも控えてはいるが、今回はあまりセコいバラシをしないので、
先のとがった形のヤツに出番はなかった。
今回の鹿は二歳未満だという。
肉の柔らかさがあり、香りにもまだクセが出ていない、お年頃である。
一般的に、というか馴染みの薄い人には薦めやすい。
ましてや、今回はポン!と射止めてからまだ1週間ほどで、
この時期の寒気でパーシャルぎみだが、冷凍してない新鮮な生なのである。
味わうには、正直言って熟成期間が短いはずだが、、、。
くわえて、例年にない少雪で鹿が里へおりて来ず、今年の貴重な一頭だという。
あ、、そうそう、雌雄の区別は聞かなかったな、、。。
どうでもいいことだけど、目の前のモノをより美味しく、
かつ、多少なりとも楽しを膨らませるために、あえてどちらかを意識して食べるなら、
たぶんメスだと思って食いたい(笑)。。。ん?考え過ぎだな!(爆)
上の写真は、まず肉の組織に逆らわないで、切るよりも筋や膜を境に引き裂く様に、
境目に刃をあてていき、分けたところ。
我流だが、こうすることによって上等な部分がきれいに分別でき、
筋の多い部分をまとめて避けやすい。
下の写真は、背ロースを大まかに切っているところ。
こいつは筋も骨もない上等な部分なので、ソーセージみたいに切るだけ。
やわらかく生食用に向く上品な肉だが、火を通した味はモモの方が旨い。
家で全部食べるには多すぎるし、冷蔵庫も大きくないので、いつもの事だけど、
鹿肉処理家庭に電話する、、、「鹿肉もろてくれぃ、、モモ一本まるまるな」
で、迷うことなく受けてくてる返事がありがたい。
うちのワンコが横で「アタイが全部食う!ヨソへやらんでもいいっしょ!」
と、目を輝かせ鼻息を荒くしてる。
彼女へのワケマエは、筋ばったキレッパシのバラエティーセットと、
スネ肉の骨付きまるかじりタイムを提供する。
コンボウを持つように差し出し、かじらせるだが手を離すと最後に骨をかじり、
骨や骨髄を食べると跡で下痢をするので、大雑把に肉だけ食べさせて終わる。
彼女にはたまらない一時らしい。
かくいう自分も、、銀次郎を介して手に伝わる、その肉を切る感触を、
けっこう楽しんでたりする、、、、なんか危ないカモ、、汗。
今回は、徹底的にいいとこだけ食べることにして、少しでも筋っぽいところはパス。
骨抜きでスジに通ってない軟弱モノが重宝されるのが食財の世界か?。
食されるに適し、強者に喜ばれるが、私の場合は共食いと言えるかも。
でも、明らかに畜産による食肉よりは、よく言えばヘルシーで、
歯ごたえがあり、かみ締めると上品な旨みが出る。
もちろん焼きはレアかミディアム程度に抑えてで、好みの差があることも当然だが、
鹿にせよ、鳥にせよ、抗生物質や他の添加剤に縁の無い野生の肉。
その安全性というか?安心感?、、、と旨さを知って10年目である。
ちなみに、自然の恵みによる味ゆえ、生息地域で肉の味わいも変わるという。
たしかに、道東の鹿肉をもらって食べたことがあるけれど、イマイチの味。
一度だけなのでハッキリした評価は避けたいが、「日高の鹿はイチバン旨い」
という鹿肉の師に、洗脳され(笑)味覚まで暗示をかけられたのかもしれない。
立場はどうあれ、食を推奨する場合には、欠かせないテクだろうな。
しかし、金品のやり取りが無いので、
これはまさに野性味溢れる真心の味なのである。
持つべきは友なり。
かくして、山のエネルギーが鹿様を介して、この身の血となり肉となるのです~。
鹿みたいに、山さ行ってポン!ってハネルべか!
※銀次郎:安物の山菜ナイフに手を加え鋭利に研ぎあげた万能ナイフで、
とりわけ先の丸い形状は鹿肉バラシには欠かせない。
20年近い付き合いの助っ人です。
※写真では、肉の色がかなりドス黒いですが、実際はもっと明るい色の生肉です。